内容紹介
■□ 自分の業務を自分で効率化するプログラムへの最短距離□■ 本当に役立つプログラミングの基礎力を身につけよう
「ビジネスパーソンもプログラミングを! 」と、新しいビジネススキルとしてプログラミングが求められるようになってきています。その背景にあるのは、プログラミングが仕事の効率化に直結すること。パソコンを使って業務を進めるのが当たり前になってもうずいぶんになりますが、気づいてみればマウスを使った手作業が1日の大半を占めるように。パソコンを使った業務なのに、ずっと手を動かしてばかりで気づけば残業……。
そんな手仕事の作業を自動化できるのがプログラミングです。Pythonを使えば、Excelをはじめとするビジネスパーソンの仕事を自動化できます。
でも、その目的をあらためて考えてみてください。目的は「自分がやっている面倒くさい業務を自動化したい」ですよね。プログラミングの入門書で文法をマスターするためにサンプルコードを写経して(自分で丸写しするように入力すること)動かしてみる。Excelやオフィス業務を自動化するプログラムを紹介した書籍で、サンプルプログラムを動かしてExcelのデータを操作できることを試してみる。こうした勉強方法は、役立つスキルを身につける早道でしょうか。学んだことは必ずいつかは役に立つでしょうが、自分が仕事で扱っているデータはサンプルファイルにはありません。それを自動化するプログラムは、結局自分で作るしかない。プログラミングを仕事に役立てるには、自分でプログラムをゼロから作るために必要なスキルを身につけるしかないのです。
そこで本書では、業務の最前線で出てきそうなリアルなビジネスデータをサンプルに、プログラミングの基礎を徹底解説しました。これにより、プログラミングをゼロから学びながら、Pythonで業務データを扱う勘所も自然と養えます。ビジネスパーソンにとってはこれがプログラミング学習の“王道"なのです。
たとえば繰り返し処理。典型的なのが、Excelシートから特定のセル範囲の値を読み出す処理です。こうした実務で利用するサンプルを通じて基本のアルゴリズムを学ぶことで、繰り返し処理というプログラミングの基本を学びつつ、それを自分の業務で応用できるコードも自然に身につけることができるのです。
実務に応用できることを重視したという点では、第3章で早くもオブジェクト指向プログラミングを解説した点にも注目してください。Pythonをご存じの方なら、一般には「値」として説明される文字列や数値も、Pythonではすべてオブジェクトとして扱われていることもご存じでしょう。Pythonでデータを扱うなら、早い段階でオブジェクト指向プログラミングとは何か、Pythonにおけるオブジェクトとはどういうものかを知ることは、基本の学習のスピードアップに必ずつながります。そこで本書は、プログラミングの入門書としては“掟破り"の構成にしました。でも、結局はこれがわかりやすいのです。同様に、理解しているとPythonプログラミングが格段に楽になる「イテラブル・オブジェクト」についてもしっかり解説しました。
また、業務を効率化するプログラムを作れるようになれば、同じ部署にいる人にも使ってもらいたいと思うようになるかもしれません。あるいは部署で使えるプログラムを作ってもらいたいという要望が出てくるかもしれません。他の人にもプログラムを使ってもらえるとなれば、必須になるのがエラー対策。「エラーが出たけどどうなってるの?」で業務が止まるのは、プログラムを作った人にも使う人にもロスになります。そこで、例外処理についても1章を当てて解説しています。バグをつぶしたプログラムでも、想定外のデータや操作によりエラーを出すことは考えられます。そこでビジネスの現場で起こりがちなエラーはあらかじめプログラム側でしっかり対処しておきましょう。
大量のデータを扱う必要が出たときのために、データベース処理も解説しています。Excelではデータ量と処理速度に限界があります。そこで、大量のデータを高速に処理できるSQLを使ったデータベース、具体的にはSQLite3を使ったデータ処理も取り上げました。SQLは、データベースを処理する専門の言語です。Pythonでは標準で扱えるようになっています。本書では基本的なデータベースの作成、レコードの追加、抽出などについても解説します。もたもた遅いExcelのデータはSQLite3に転送し、高速にデータ処理。必要なデータだけを抽出してExcelに持ち込み、見た目よく仕上げる。そんなことが本書で紹介するExcelとSQLite3の連携プログラムで可能になります。
ここまで身につけば、自分のために効率化プログラムをゼロから作れるのはもちろん、世にあるサンプルプログラムを自分の業務に合わせて改造するのも簡単です。いきなりサンプルプログラムを何とか改造しようとするよりも、ビジネス用途にぴったりのスキルをしっかり身につけてからのほうが応用もラクラク。「車輪の再発明」(すでに公開されているコードを使わずに、自分でゼロから作ること。プログラミングでは無駄の代名詞)も避けられます。業務もプログラミングも効率化できるというわけです。
プログラミングの入門からビジネスでの活用まで、“使える"プログラミングスキルを本書がご提供します。本当の意味で役立つプログラミング入門書をお探しの方は、ぜひ手に取って内容をお確かめください。
■主な内容
研修1日目 プログラミング環境を整える
研修2日目 変数と演算を知る
研修3日目 オブジェクト指向プログラミングは難しくない
研修4日目 条件分岐と繰り返し処理を作る
研修5日目 イテラブル・オブジェクトを理解する
研修6日目 関数を活用する
研修7日目 例外処理でエラーに備える
研修8日目 データベースを使う