内容紹介

紙書籍の全内容を収録した、検索に便利なCD-ROM付きです。

 自動車業界は「100年に1度の大変革期」と言われて久しいですが、近年は地政学的なリスクの高まりも相まって、混迷の度合いが一段と強まってきました。トランプ関税をはじめとする各国の保護主義的な政策に加え、半導体やレアアースといった重要物資のサプライチェーンを巡る攻防など、先行きの不透明さが年々増しています。

 技術トレンドも様変わりしました。ここ数年で電気自動車(EV)シフトの動きはすっかり影を潜め、ハイブリッド車(HEV)などの内燃機関を見直す動きが広がっています。また、生成AI(人工知能)の進化により、自動運転やソフトウエア定義車両(SDV)といった「クルマの知能化」に競争軸が移ってきました。

 最近では車両周囲の認識から判断、制御までをAIが一手に引き受ける「End to End(E2E)」と呼ばれる自動運転技術が世界的に注目されています。先進運転支援システム(ADAS)や無人の自動運転タクシー(ロボタクシー)に劇的な進化をもたらし、自動車業界の競争ルールを大きく変える可能性が指摘されています。

 ただし、E2E自動運転で先行するのは、現時点では米Tesla(テスラ)や中国EVメーカーなどの新興自動車メーカーが中心であり、日本勢をはじめとする伝統的な自動車メーカーは後手に回りがちです。さらにAIの性能を決める半導体やソフトといった領域では巨大IT企業の影響力が高まっており、自動車メーカーを頂点とする伝統的なピラミッド型の業界構造は崩壊しつつあります。

 こうした激動の時代には、自動車業界の現状や先行き、技術トレンドを中長期的な視点で理解することが欠かせません。本書は、自動車業界の専門誌「日経Automotive」から最新のトピックスや必読の技術解説を厳選し、1冊にまとめました。自動車業界の1年を振り返りつつ、今後の方向性を占う上で貴重な保存版の書籍となっています。企画や研究開発、設計、製造部門の参考資料として、若手・中堅エンジニアの研修用テキストとして、ご活用いただければ幸いです。

<目次>
序章 EV逆風、知能化で競う
クローズアップ
トランプ関税、大わらわ マツダと日産の影響大
テスラのロボタクシー発進 E2Eでウェイモ追撃
日産、追浜・湘南生産終了 エンジン工場「話せない」
テスラE2E、日本で試験 訴訟や事故報告遅れも
トヨタが都市ソフト基盤 ウーブン・シティで実証
日産、E2E「低価格車に」 英ウェイブと一般道手放し
ホンダが5年ぶりF1 新技術規則が復帰後押し
トヨタ社長に財務の近氏 E2E自動運転に自信

Interview
VWブルーメCEO、2035年のEV100%「時期尚早」
Oliver Blume氏 Volkswagenグループ最高経営責任者(CEO)

サイバートラック分解スタート、テスラは今も先端か
サイバートラックのHMI、ディスプレー中心の操作に不満あり
サイバートラックの整備画面、分解前に車内からここまで分かる
サイバートラックの内装分解、電装部品に日本メーカー発見
サイバートラックの電池、電池パックに座席を直接固定
サイバートラックの基幹部品、ギガキャストは固定具の役割
サイバートラックの外装リコール、接着剤で留める手法が裏目に
サイバートラックの電動アクスル、前後は外観同じでも中身は別物

第1章 E2E自動運転 生成AIが導く劇的進化
E2E自動運転革命
Part 1 140兆円市場で頂上決戦 ウェイモ、E2E自動運転にジェミニ
Part 2 ウェイモのE2E 戦略 対テスラの切り札VLAの真意
Part 3 テスラと異なる戦略 日産、E2EにLiDAR・ミリ波
Part 4 識者に聞く中国E2E 別格ファーウェイはVLAと一線
Part 5 E2E 自動運転でレベル4 テスラ、ロボタクシー量産へ

日産がE2E自動運転で採用へ 英ウェイブの実力
テスラの半導体戦略 E2E自動運転の計算力10倍へ
マスク氏「チップの夢を見る」 テスラ、インテルとAI半導体工場検討
E2E自動運転、間もなく大衆車へ NVIDIAが普及後押し
トヨタ、ウェイモと自動運転 運用法獲得しE2Eに備え
ホンダのE2E、米新興のソフト採用 共同開発で27年量産
デンソー、E2E自動運転新興に出資 チューリングが153億円調達

Interview
半導体・EV凍結で自動運転に集中 チューリングCTO、自前こだわらず
山口 祐氏 チューリング 最高技術責任者(CTO)兼Director of AI

第2章 SDV 主役はオープンソース
Linuxカー、SDVの常識覆す
Part 1 リアルタイム部品にLinux ホンダがAGL採用へ、脱QNX模索
Part 2 リアルタイムOSに新勢力 ホンダやVW、ゼファー推進
Part 3 2000 万台アプリ基盤構築 トヨタやホンダ、異例のAPI 連合
Part 4 Linux はどこまで広がるか 自動運転OSにLinuxの是非

車載AIエージェント最前線
Part 1 踏み出すテスラ グロック採用で意思疎通強化か
Part 2 技術企業の覇権争い 先行セレンス・MS、追うグーグル
Part 3 中国勢の行方 独自生態系を軸に進化

Interview
「NXPはSDVの基盤になる」 ハードとソフト一体供給
Rafael Sotomayor氏 NXPセミコンダクターズプレジデント(社長)
Kurt Sievers氏 NXPセミコンダクターズ最高経営責任者(CEO)

VW・BMW・メルセデス、SDV基盤共通化へ RustでASIL対応
「仮想同乗」をホンダが提案 SDVの世界を垣間見た
ホンダ、電子基盤に仮想化技術 次世代OSにAGL・ゼファー検討
トヨタ新型RAV4にアリーン初搭載 PHEVにはSiC

第3章 内燃機関・HEV 日本のお家芸に中国が迫る
エンジンの逆襲
Part 1 50年後も残る3つの理由 欧州委「エンジン車禁止」撤回へ
Part 2 日系7社のエンジン戦略 日本はHEVの百貨店
Part 3 欧州、脱エンジンの代償 中国勢「弱った老舗」に攻め込む
Part 4 大聖・早大名誉教授 日本のエンジンはなぜ最強か

ZEV規制撤回の衝撃
Part 1 EVからHEVへ ホンダ・トヨタが戦略見直し
Part 2 日産新e-POWER 高速燃費でホンダ超え
Part 3 EV混流生産に備え マツダ、AGVで工程1分強を維持
Part 4 薄れるトヨタの強み PHEVでホンダ流台頭
Part 5 吉利のPHEV 欧州エンジン取り込みBYD猛追

中国製ハイブリッド専用エンジンの実力 インフレ気味の熱効率に疑問
VWが2モーターHEV投入へ EV伸び悩みで戦略転換
トヨタGR GTに新V8 排ガス規制「最後まで戦う」

第4章 EV・電池 今こそ未来への備えを
EV電池、生き残りの条件
Part 1 電池メーカーは淘汰・再編へ CATLが「競合潰し」に本腰
Part 2 EV電池発火7つの疑問 TeslaのEV消火に19万Lもの水
Part 3 ホンダの全固体電池 3つのコスト対策で中韓を逆転へ

VW出資の国軒がLMFP電池量産 260Wh/kgで三元系置き換えへ
トヨタが中国で独自資本EV工場 米国の電池工場はHEV用も
Japan Mobility Show 2025 トヨタ・ホンダ・BYD、次期EV初披露
トヨタがSiCの採用拡大 bZ4Xが国内最長の航続746km
トヨタ向け全固体電池材料は千葉で 出光が「実用化へ大きな一歩」
日産新型リーフ、追い風なき米国投入 電池はCATLからAESCへ
日産の中国合弁が新EV「N7」 進む現地企業との提携
スズキのインド産EV「eビターラ」 BYD製LFP電池を中国調達
ホンダの軽乗用EV N-ONE e: 電池変えずに航続距離50km増

第5章 安全・ADAS ボディーは鉄かアルミか
ギガキャスト対ホットスタンプ 一体成型で競う自動車ボディー
Part 1 ホットスタンプ再脚光 テスラ、ギガキャスト一部廃止
Part 2 ギガキャストは限定的 ホンダ、1. 5GPa級ホット活用
Part 3 アルミと鉄は断面で使い分け 日産、車体骨格「一体化は当然」
Part 4 電池ケースの最前線 日産はアルミ、テスラは鉄増加へ

スバルの新型フォレスター サイクリスト対応エアバッグ初搭載
BYDがADASで“価格破壊” 100万円台EVにも「レベル2+」
中国製SoCが世界へ 欧州採用で日本勢も検討
日産、中国でシリパラ式PHEV ADAS・IVIにクアルコム製統合SoC
スズキ新型クロスビー燃費2割改善 骨格全体に減衰接着剤
中国半導体ホライズン、日系車が採用 インドのADAS向け
小米YU7、難攻不落のモデルY射程 ADASに低評価も
ヴァレオ、低コストな高速道NOA センサーはソニーかサムスン