いつまでたっても広報担当者が成果を出す機会が与えられず、成果が出ないがゆえにチャンスを与えられないという悪循環に陥っている会社が多くあります。目に見える広報活動の成果が出るまでにはある程度の時間がかかりますが、結果が出ない状況に社内の反応が冷たくなりがちです。『小さな会社の広報大戦略』(松田純子、高橋ちさ著/日本経済新聞出版)から抜粋・再構成してお届けします。

ダメ広報の日常

営業部長Hさん 「あ、Nさん、ちょうど良かった。さっき会議で新サービスのローンチ日が決まったんだけど、来週プレスリリース出すからよろしくね」

広報担当Nさん 「どんな内容なんですか?」

営業部長Hさん 「いつものように営業側で中身を書くから、あとは形式を整えてプレスリリースにしてくれれば大丈夫だよ」

広報担当Nさん 「分かりました。では初稿をいただくのをお待ちしています」

他部署と広報部が連携できていない

 取材一つ獲得するのも簡単なことではありません。特に社内に広報に関する知見やノウハウがない場合は、目に見える広報活動の成果が出るまでにはある程度の時間がかかります。そうなると、広報部に対する社内の反応が冷たくなりがちです。

 例えば、プレスリリースを出す際も、他部署の立場からすれば、広報部に任せてもプレスリリースが自分の部署の取材につながるわけではなく、広報担当者の商品理解が足りないので、中身は自分たちで書く必要があり面倒だなと感じてしまう、といったことが生じます。

 また、広報担当者が「広報活動のネタ」を社内から集めようとしても、他部署のリーダーたちは自分の仕事が忙しい中でなかなかまともに時間をとってくれません。

 これではいつまでたっても広報担当者が成長できず、成長できないがために成果も出せないという悪循環にはまっていくことになります。

広報部に対する社内の反応が冷たくなりがち(写真:STOATPHOTO/stock.adobe.com)
広報部に対する社内の反応が冷たくなりがち(写真:STOATPHOTO/stock.adobe.com)
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広報担当が評価されない構造

 他部署との連携があって初めて業務が成り立つのが広報部なので、他部署から信頼が失われていくと広報担当者の仕事の幅はどんどん狭まっていきます。

 プレスリリースの例でいえば、他部署の責任者が書いたプレスリリースを自社ウェブサイトに掲載したり、PR TIMESなどのプレスリリース配信プラットフォームにセットしたりすることだけが広報担当者の仕事になってしまうというイメージです。

 未経験で広報担当者になった後、誰にもフォローしてもらえず、気づけばもともとの予定が変更になって仕事の大半が他部署との兼務になっていたり、SNS(交流サイト)やブログ更新がメイン業務になっていたりする広報担当者の方を実際に見かけます。

 専門性が高い仕事にもかかわらず社内の誰にも助けてもらえず、予算がないため支援サービスも使えず、評価もしてもらえない。こういった状況では広報担当者のモチベーションは下がる一方です。モチベーションの下がった広報担当者が成果を上げにくいことは言うまでもありません。

典型的な残念なポイント

 3回の連載を通じて「成果が出にくい広報部が持つ共通点」を紹介してきましたが、典型的な残念ポイントをまとめると次の通りです。

・企業広報という活動そのものに対する理解不足
・自社に合った適切な広報活動の目的設定ができていない
・経営陣と広報担者のコミュニケーションが適切に取れていない
・社内の理解や協力が得られていない
・広報実務に関する知識、ノウハウ、リソース不足

 どの項目も中小、スタートアップ企業の経営者や、未経験かつひとりで広報を担当している方などから受ける相談から見えてきた課題です。もし自社がこれらに当てはまるようなら、自分たちに合った広報部のあり方を見直していただければと思います。

 また、これからまさに広報部を立ち上げようとしている方は、せっかく始める広報活動が上記のような状況に陥らないように、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

広報戦略、組織、業務、人材採用、評価方法を網羅的に解説

ダメな広報には特徴があります。活動目的が明確になっていない、持続可能な体制になっていない、広報活動そのものを広告だと思っている、プレスリリースを出すだけ……根底にあるのは、経営者の無関心あるいは行き当たりばったりの方針です。

松田純子、高橋ちさ著/日本経済新聞出版/2420円(税込み)