その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は伊藤滉一郎(じゅそうけん)さんの『 小中高大受験戦略 子どもが沈まない 親が無理しない 』です。

【はじめに】

 みなさまはじめまして。「じゅそうけん(受験総合研究所)」の代表を務める伊藤と申します。
 受験に関する情報発信(X・YouTube)、書籍執筆、教育機関向けの広報支援、教育メディアの運営、オンライン塾運営などを行い、様々な視点から教育・受験というものに向き合ってきました。

 近年、親御さんの教育熱が高まりを見せています。
 首都圏の小学校受験や中学受験の割合は年々上昇しており、子ども1人にかける教育費もうなぎ上りとなっています。4年制大学への進学率も上がり続けていて、約6割の高校生が大学に進学する時代が到来しました。30年前と比較すると倍増しています。
 この要因を分析すると、少子化が進んで一人っ子家庭も増え、「この一人を立派に育てたい」という意識が以前と比べて強くなってきているのではないかと推察できます。
 中学受験や高校受験といった節目は子どもにとっても親にとっても非常に重要です。親子二人三脚で受験戦線を乗り越える必要があります。

 ここ数年、SNS上では「できるだけ少ない負担で、コスパよく我が子をそれなりの社会的地位につけるにはどうしたらよいのか」といった声が親御さんのアカウントから発信されるようになりました。お子さんの中学受験・高校受験のための情報交換を行う教育ママ・パパ(ママ垢・パパ垢)も目立つようになり、「受験親界隈」と呼ばれるコミュニティも活況です。
 受験市場が複雑化し、SNSには体験者の情報があふれ、親御さんも何が正解なのか見えづらくなっていると思います。
 首都圏での中学受験が過熱していますが、これには子どもの向き不向きもあり、大手進学塾へ小3の終わりから子どもを通わせて私立の中高一貫校に入学させた場合、公立中学校・公立高校へ進学するルートと比較して約1000万円(塾代、授業料等の合計)の負担が追加で必要だとも言われています。

 大学卒業と就職を一つのゴールとするなら、必ずしも中学受験を検討する必要はなく、希望する大学への入学に至る「受験ルート」について親が正しく理解することが求められるでしょう。
 また、近年の大学入試では一般入試を受験する人の割合が減少傾向にあり、総合型選抜と呼ばれる「体験」を重視する入学試験を導入する大学が増えています。この「体験」は一朝一夕で身につくものではありません。

 本書では、子どもの適性だけでなく、学費や塾代など親の経済的負担、送り迎えや宿題対応等の親の時間的負担という視点で、各「受験ルート」を詳細に解説します。
 これまでの受験論者は指導の現場に立つ先生方が多く、各領域(小学校受験・中学受験・高校受験・大学受験)のプロフェッショナルである先生方が、ややもするとそれぞれのポジショントークに陥りがちでした。
 それに対し、私は幼稚園・小学校受験から大学受験、ひいては就職活動にまで対象領域を広げ、すべてを横断的に論じることができる珍しいポジションであり、客観的かつ中立的な視点ですべての受験ルートを語ることができるのが強みだと考えております。
 私は受験界隈の情報にはかなり詳しいと自負していますが、受験生に直接勉強を教えているわけではありません。そのため、国語や算数の効果的な勉強方法や得点アップなどの受験テクニックについては、現場で教鞭をとっている先生方にお任せするとして、本書では受験校選びや受験ルートの策定に焦点を当てています。読者の皆さんには、「受験ルート選びの攻略本」として本書をご活用いただければ幸いです。

 かつて、教育を「コスパ」で語るなどというのは品のない発想だと言われてきました。特に教育に携わる先生方からは厳しいご意見をいただくことが多いです。
 しかし、綺麗事だけでは世の中渡っていけないのが常であり、こういった需要が存在するというのも事実です。実際、私が以前執筆した『コスパで考える中学受験・大学受験』という電子書籍は多くの方に読まれ、読者のほとんどはお子さんの受験を控えた親御さんでした。
 もちろん、就職先・大学選びも重要ですが、それ以前に、幼少期からの経験の蓄積がそれ以上に重要であることは、意外と知られていないように感じます。
 難関大学への入学や希望する就職先に到達する人たちの子ども時代を深掘りすると、その多くは幼少期から親御さんによる手厚い教育サポートを受けていたことが分かります。

 賛否両論いただくのは承知の上で、今回は「お金」「時間」に焦点を当て、幼稚園受験から大学受験に至るまで、各ルートを徹底検証していけたらと思います。
 なお、本書では主に私立の中高一貫校を受験するルートを「中学受験ルート」、公立中学に進学し公立高校・私立高校を受験するルートを「高校受験ルート」と呼んでいます。

 それでは進めていきましょう。

【目次】

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