その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は日本経済新聞社+立教大学(編)の『 人生と仕事と学びをつなぐ15の講義 18歳からのキャリアデザイン 』です。
【はじめに】
大学で学び始める新入生、大学進学を意識し始めた高校生のみなさん、「キャリアデザイン(Career Design)」という言葉を聞いたことがありますか。みなさんのような若者にこの言葉の意味を理解してもらうために、直訳ではなく、こんなふうに言い換えてみます。「自らの人生の夢を描き、その実現に必要な学びを深めたり、経験を積んだりすること。そして前を向いて歩んでいくこと」。そのための一歩が大学という舞台なのです。
急に「人生」というキーワードを持ち出されても、そもそもどのように考えたらよいのかイメージしにくいかもしれません。それは無理もないことですし、心配することはありません。大学では仲間と一緒に学んだり、活動したりしながら、自らの人生のイメージを少しずつ描いていけばよいのです。大学で学んでいる先輩たちも同じように人生と向き合い、答えを探し求め、悩みながら学生生活を送っています。
キャリアデザインという言葉が注目されるのは時代の変化と大きなかかわりがあります。その変化をもたらす要因を挙げるなら、目まぐるしく移り変わる国際情勢、グローバル化が進む経済活動、急速に進化する人工知能(AI)などでしょう。たとえば新型コロナウイルス禍で世界が大混乱し、企業は採用活動を見直しました。先輩たちは本人の努力や能力とは関係のない現実を受け止め、厳しい就職活動をせざるを得なかったのです。
日本経済新聞社には大学と協力して講義を運営する「日経講座」という取り組みがあります。立教大学とは2021年度春学期から「キャリアデザイン」(定員200人)、24年度秋学期からは「立教ゼミナール発展編2」(同30人)を共同運営しています。講師陣であるゲストスピーカーには日経の編集委員などのほか、立教大からはキャリアセンターとボランティアセンターの専門家、卒業生が加わっています。
講義「キャリアデザイン」では、私たちがいま生きている世界はどんなかたちをしているのか知ることから始めます。講師と一緒に国際情勢、景気動向、社会課題に関するテーマを学んだり、注目ニュースを読んだりします。大学のキャリア・就職支援やボランティア活動の取り組みも伝えます。とりわけ新入生には「働くこと」や「生きること」を意識しながら、大学で学ぶきっかけをつかんでほしいという解説に重点を置いています。
もちろん日経の講師陣は教えるプロではありません。その代わり「どのように時代を捉え、伝えるか」という新聞編集や教材づくりの視点があります。ときには講師自身の学生時代や新入社員時代、転職の体験も交えながら学生に話しかけます。オンラインを使い、手探りで始めた講義でしたが、学生が寄せる意見や質問が私たちのヒントになりました。まさに学生と一緒につくってきた講義といえるでしょう。
残念ながら講義には定員があり、希望する学生がすべて受講できるわけではありません。また、他の大学でも新入生たちが「人生設計を描くために、大学ではどのような視点で学び、活動したらよいか」と共通の疑問を抱いていることもわかってきました。そこで、全国の大学生や高校生にもヒントになればと考え、このテキストを実現することになった次第です。本書のタイトルは講義に携わる多くの関係者の思いが込められています。
たとえば大学1年生、高校3年生は、テキストの第1章から読み進めれば、大学での学びや活動のポイントをイメージしやすいと思います。大学2年生~4年生なら「人生」や「仕事」など関心のあるテーマを読めば、自らの学びを振り返りながら、人生設計を考えるきっかけになるでしょう。そして、特別講義1と特別講義15につづられた若者たちへのメッセージを読み取ってほしいと思います。
キャンパスでの歩みはこれから生きる長い人生へとつながっています。もちろん人生は一人ひとり異なります。夢の実現への道筋も考え抜かねばなりません。だからこそ、自分だけのキャリアデザインを組み立てていく価値があるのです。軌道修正が必要な場面が出てきたら、教員、先輩、友人などに相談してください。みなさんの背中を押してくれることでしょう。そして、その一歩を踏み出す勇気を育んでいくのはあなた自身なのです。
2025年3月
日本経済新聞社
立教大学
【目次】




