その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はザジー・トッド(著)、片山美佳子(訳)、日経ナショナル ジオグラフィック(編)、松本ひで吉(イラスト)の『 あなたの猫を世界でいちばん幸せにする方法 』です。
【はじめに】
やわらかなのに、カギ爪を持つ。ゴロゴロと甘えてくるが、何を考えているかわからない。ネコは、とかく誤解されやすい。だが、ネコだって真剣に向き合うほど、大きな“ごほうび”を返してくれる。世の中は万事そんなものなのだが……。
室内飼い、外出もさせる半外飼い、一匹飼い、多頭飼いといった飼育環境によって、ネコのニーズは異なる。私は、何年もネコに関する執筆活動や仕事を続けてきた。本書を通じて、ネコのニーズをよく知れば、ネコとの関係をいちだんと素晴らしいものにできるということをお伝えする機会に恵まれ、今、とてもわくわくしている。そして、私の愛猫、ハーリーとメリーナの話も聞いて頂ければ。
私は博士号を取得したノッティンガム大学で、動物行動学と心理学入門の少人数のクラスを受け持ち、ヒツジの脳の解剖もした(牛海綿状脳症〔BSE〕に関わるガイドラインで、この実習が望ましくないとされる前だった)。社会心理学者として、リスクの認識とコミュニケーションに関する研究を何年か行ったあと、夫とともにカナダに移住し、ブリティッシュコロンビア大学でクリエイティブライティングのMFA(美術学修士)を取得した。
そして短期間に、2匹のイヌと2匹のネコを立て続けに引き取ってみて驚く。心理学の研究で得た知識とは一致しない事実に直面したのだ。とりわけ、しつけのために厳しい訓練方法が推奨されていたことに、疑問が湧いてきた。そこで私は、ペットの行動に関わる科学的な見解をもっとよく調べてみようと思い立ち、イヌとネコを科学的に研究するという素晴らしい分野に出会ったのだ。
2012年、私は「コンパニオン・アニマル・サイコロジー」というブログを立ち上げた。一般の愛犬家や愛猫家と、質の高い情報を共有したいと思ったのだ。すると多くの飼い主が、科学的な裏付けのある記事を求めていることがわかった。私は幸運にも奨学金を得て、ドッグトレーニングのハーバードとも呼ばれる、「アカデミー・フォー・ドッグトレーナー」で学ぶ機会に恵まれ、効果的なトレーニング法や、恐怖心や攻撃性に起因する問題行動にどう対処するかを習得している。
それは、かつて教えたことのある心理学を実際の場面で応用したものにほかならなかった。さらに、英国の非営利団体「インターナショナル・キャット・ケア」の教育講座でネコの行動を学び、上級の修了証を取得している。ネコが一生のうちにどのような体験をし、どう行動しているのかをすべて網羅した、素晴らしい内容だった。それと同時に、国際的な保護活動にも貢献している「ブリティッシュコロンビア動物虐待防止協会」(BC SPCA)の地元の支部で、ネコやイヌ、小動物に関わるボランティア活動を行い、多くのことを学んだ。今は「ブルー・マウンテン・アニマル・ビヘイビア」という、イヌやネコの問題行動の相談に応じる事業を運営し、やりがいを感じている。
また、ペットの行動に関する研究も続けており、人間動物学の研究内容を一般の人々に伝える方法を、米国カニシャス大学人間動物学の修士課程の学生に教えている(人間動物学とは人間と動物との関係を研究する学問)。
前作の『あなたの犬を世界でいちばん幸せする方法』を書く前から、ネコについても同様の本を書きたいと考えていた。ネコの飼い主もイヌの飼い主と同じように、ネコの飼育について専門家からもっと学び、科学的根拠に基づく確かな情報が欲しいと思っている。本書が、読者の求める新しい知識をお届けし、愛猫とより良い関係を築くのに役立てば幸いだ。
なお、本書の内容は専門家の意見を代弁するものではなく、みなさまの愛猫の個別事案についての助言でもないため、ご自身の愛猫について何か気になることがあれば、必要に応じて、獣医師、動物病院の行動診療科、ネコの行動の専門家などに相談してほしい。
【目次】



