その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は大澤文孝さんの『 さわって学べるPower Platform Copilot 』です。

【はじめに】

 近年、目まぐるしく発展しているAI(人工知能)。難度もどんどん下がり、誰もが手軽に利用できるようになりました。

 AIと言えばチャットや画像生成が有名ですが、業務アプリに組み込むことで、DXを大きく改善する効果もあります。例えば、問い合わせの自動化。社内規定やFAQなどのドキュメントを事前に登録しておき、そこから回答できるチャットボットを作れば、質問がくるたびに回答していたやりとりを自動化できます。類似する話題として、メールも挙げられます。お客様からの問い合わせを受けるメールシステムにおいて、メールの内容から怒り具合をAIで判断し、怒っているようであれば優先度を上げてクレーム担当に自動連絡するなど、内容による振り分けを実現できます。また返信の文面を作る場面においても、雑に入力した文章を丁寧な文に書き換えるAI機能があれば、丁寧語として入力する手間が省け、時短につながります。このように、業務アプリへのAIの組み込みは、少しの工夫で改善できる余地が大きい分野です。

 本書では、マイクロソフト社の「Power Platform」のAI機能を使うことで、業務アプリがどのように変わるのかを示していきます。Power Platformは、プログラムのコードを書く必要がなく、入出力部品を画面上に並べたり、処理フローを線で結んだりするだけで業務アプリを作れるローコードツールで、専門家でなくても使えます。そうしたローコードツールに新たにAI機能が搭載されたことで、専門家でなくても、簡単にAI機能を組み込める時代になったのです。

 本書の特徴はさわって学べることです。「アップロードされたファイルを要約してTeamsに通知する」「社内規定などのドキュメントから回答できるチャットボット」などのサンプルを作りながら、どのようにすれば、業務アプリにAI機能を組み込めるのかを具体的に指南します。

 また、Power Platformには、開発をサポートするAI機能もあります。「在庫管理アプリを作る」「商品管理アプリを作る」など、作りたいものを入力すると、データ構造と画面のひな型を即座に作れます。ちょっとした業務改善アプリを素早く作れ、開発スピードは従来と比べものにならないほど速くなります。

 もはやAIは難しいものでなく、誰もが気軽に使えるものです。

 本書によって「AIの導入は難しいものではない」ということが伝わり、皆さんがAI開発を進めるきっかけとなれば幸いです。

2024年5月 大澤文孝

【監修者より】

 「2025年までに新しく作成されるアプリケーションの70%は、ローコードで開発されるようになる」。米国のIT調査会社ガートナーがこのように発表しました。従来のアプリケーションはほぼすべてITの専門家が作成したものですが、これから開発されるアプリケーションの70%は、ITの専門家ではない一般ユーザーが主体になってローコードツールで開発されるとの予測です。

 背景にあるのは生産労働人口の減少という問題です。パーソル総合研究所は「2030年には644万人の労働人口が不足する」という調査結果を出しています。この問題は2030年以降も解決する見通しはなく、少子高齢化により若者の数が減り、各業界で人材獲得競争がますます激しくなると予想されています。

 企業は生き残っていくために、自動化やAIの技術を活用し、限られた人数で生産性を向上させようと「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に取り組んでいます。多くのDX人材は自らアプリケーション開発を手掛け、結果として、ガートナーが発表しているようにアプリケーションの70%がローコードで開発されるようになるのでしょう。

 2030年問題、2040年問題、2050年問題として予測されている労働人口不足問題により、企業が求める人材像が急激に変化しつつあります。技術力をしっかり身につけておけば、個人のキャリア形成にもきっと役立ちます。「DX人材と言われてもイメージできない」という方は、ローコードツールによるアプリケーション開発に一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。そうすれば、自分に合ったDX人材像が見えてくるかもしれません。

 そのためのツールとして、複雑なプログラミングをすることなくアプリケーションを開発できる「Power Platform」は適しています。現在稼働中のアプリケーションは使っている技術が古いため改修が難しく、新しい機能を追加することも困難であることが多々あります。それに対してPower Platformは、新しいアプリケーションの開発、古いシステムから新しいシステムへの移行、売り上げデータの分析など、さまざまなことが簡単にできます。「アプリケーション開発って難しそう」と感じている方に、ぜひ触れていただきたいツールです。本書では、近年話題になっているAIに焦点を当て、Power Platformの活用法を紹介しています。Microsoftが提供している「Copilot」というサービスを中心に、いま使える最新のアプリケーション開発を学ぶことができます。

 皆さまがDX人材になるために、本書がその一助になれば幸いです。

パーソルクロステクノロジー株式会社
モダンアプリソリューション部 一同


【目次】

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