その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は石津朋之さんの『 講義録 戦争と平和の世界史 古代ギリシア・ローマから今日の安全保障問題まで 』です。

【はじめに】

 本書『講義録 戦争と平和の世界史』は、筆者が過去約15年にわたって放送大学の面接授業で実施してきた短期集中講義の内容をそのまま文字起こししたものであり、録音は二〇二四年度のものである。

 この講義のそもそもの到達目標については、本書の各章の冒頭に掲載したレジュメ(講義概要)を参照してもらいたい。これを最初に確認することで、読者の皆さんは講義の大まかな流れが理解できると思う。主要参考文献もレジュメの最後に掲げている。

 ただし、内容的にレジュメを大きく逸脱したり、一つの話題にかなりの時間を割いているところもある。面接授業での学生を前にした講義であるため、また、質疑応答を含めて一コマ九〇分という時間的制約があるため、学生の反応を見ながら反応が良いと感じた時にはどうしても多くの時間を割き、逆に時間が不足する場合は概略にとどめたり、省略したりしている。実際の講義を、そのまま文字起こししているため、内容的に少しバランスを欠くものになったが、また、説明不足や言葉足らず、やや誇張した表現を用いている個所もあるが、あえてそのままにしている。面接授業での臨場感を想像しながら読み進めてもらえればと期待する。

 具体的に本書は、古代ギリシア・ローマおよび古代中国の戦争から、今日の世界情勢に至るまで、戦争と平和という概念を切り口として大まかな世界史を論述するものである。歴史の大きな流れを「縦軸」とし、それぞれの章には「戦争と社会」や「戦争と宗教」「戦争と文化交流」といった「横軸」を設定、歴史と理論の融合を図ったつもりだ。つまり、時系列での細部にわたる歴史論述ではなく、世界史の大まかな流れを押さえながら、各章で設定したテーマに沿って論を進めている。併せて、今日の安全保障問題を考えるための資として、歴史の「教訓」をくみ取ってもらいたい。

 戦争と平和をめぐる問題に関心を有する読者の皆さん、さらには世界史の大きな流れに関心を有する読者に本書を参考にしていただき、自らの戦争観と平和観を構築してもらえれば、筆者の望外の喜びである。

 なお、本書で示された戦争観や平和観、そして歴史認識などは、あくまでも筆者の個人的見解であり、所属する組織の立場を代表するものでないことを、あらかじめ断っておきたい。

  二〇二六年七月

石津 朋之

【目次】

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