その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は廣橋猛さんの『 緩和ケアをポジティブに変える本 つらさを抱える患者にできることはもっとある 』。「Prologue」をお届けします。

【Prologue】

「緩和ケアって、もう諦めなさいってことですよね?」

患者にそう聞かれたとき、あなたはどう答えますか?

「いえいえ、そんなことはありません。
痛みを和らげたり、少しでも楽に過ごせるようにする医療なんですよ」

そう説明しても、患者の表情は晴れません。
むしろ、不安そうな顔をして帰っていく。

なぜでしょうか?

あなた自身、心の中で

「緩和ケアで、本当に良いことなんてできるのかな」
「実際のところ、死ぬのを待つだけなのは変わらないよな」

と、戸惑いながら話していませんか?

その感情は、患者に伝わります。

実は、この本は
そんなあなたに向けて書きました。

この本を読めば、緩和ケアをポジティブなものに
変えることができます。

なぜなら、緩和ケアは「マイナスをゼロに戻す」だけの医療ではなく
患者さんの人生に「プラス」を生み出せる医療だからです。

緩和ケアで、痛みや苦しさを和らげるのは大切なことです。
でも、それだけではマイナスだったのがゼロに戻るだけ。
患者の表情が晴れず、心からの笑顔を取り戻せないのも当然です。

「でも、緩和ケアってそういうものでしょう?」
「つらさを和らげる以外に、なにができるの?」
そんな声が聞こえてきそうです。

でも、違うのです。

緩和ケアは視点を変えることで
もっとポジティブなものにできるチャンスが広がります。

問題なのは、私たちが無意識に一方向からしか物事を見ていないこと。

「病院からの見え方」と「在宅からの見え方」
これは言い換えると「治療の視点」と「生活の視点」です。

「医療者の想い」と「患者の想い」
患者の気持ちを理解したい……。医療者がそう思ったとしても、限界はあるでしょう。

がん治療に関していうと「積極的な治療」と「緩和ケア」
本来、並行して行うべきものですが、それぞれが大切にしていることは違います。

「患者」と「家族」にもそれぞれの気持ちがあるでしょうし
医療者にしても、職種によって考え方や大切にしていることは異なります。

これらの視点を一つだけでなく、複数持つことで
緩和ケアをポジティブに変える「きっかけ」が見えてくるのです。

私は病院と在宅医療の「二刀流」で、同じ患者を両方の立場から診てきました。

病院では「病気と向き合う〇〇さん」
自宅では「日常生活を営む〇〇さん」
同じ人なのに、まるで違う顔を見せてくれます。

この違いこそが、緩和ケアをポジティブに変えるヒントなのです。

私自身、がん患者でもあります。
医療者として「分かっているつもり」だったのに、
患者になって初めて理解できた気持ちがいっぱいありました。

がん患者が緩和ケアに求めるのは、「つらさを和らげる」だけではありません。

「治療を続ける力」「希望を持ち続ける支え」
「普通の生活を取り戻す喜び」

そんなポジティブな役割も求められているのです。

緩和ケアは、複数の視点を持つことで
患者の人生にプラスを生み出す医療になります。

この本では、私が二刀流で得た気づきをお伝えします。
目次をご覧いただいて、気になるところから読んでみてください。

緩和ケアをポジティブに変える。
それは、あなたが新しい視点を手に入れることから始まります。

さあ、一緒にはじめましょう!

【目次】

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