その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はマシンガンズの『 もう諦めた でも辞めない 』です。
【はじめに】
西堀 この本を手に取っていただきありがとうございます。こうしてコンビで本を出すのは久しぶりで。
滝沢 2011年以来だよ。
西堀 最初は「何の本を出すんだろう?」と自分たちでも首を傾げていたけど(笑)、進めていくうちになんとなく方向づけられてきましたね。
滝沢 1998年に芸人としてコンビを結成して、08年頃のショートネタブームでプチブレイクして以降、約15年間くすぶり続けてきました。それが、結成16年以上の漫才師を対象とする賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~』が23年から始まって、僕らは準優勝という結果で、“セカンドチャンス”を手にすることができまして。
西堀 その潜伏期間中の努力や葛藤を明かして、「働くみなさんの勇気や活力になるビジネス書を」的な趣旨から始まったんだけど…ちょっとそうはならなかったな(笑)。
滝沢 でも、約26年の芸人人生を順を追って振り返ってみたら、それなりに見えてきたものがあって、売れなくてもとにかく「辞めない」ことは、大きな選択肢の1つになるという結論が出ました。どんな形であってもね。
西堀 やっぱり努力が足りなかったなって気付きもあったよ。はははは!
滝沢 僕は二足のわらじでゴミ清掃員になったときに、どこかで芸人を諦めた部分があったんです。でも、ただただ辞めなかった。フラフラしてたら、素敵な出会いが勝手に向こうからやってきて、こうして本も出せたし、意外と間違っていなかったのかもしれない。
西堀 あと、人間うまくできてるなと思ったのは、嫌なことは忘れてる。負の財産を持ち越してこなかったなって。傷ついても、それを抱えていられるのはせいぜい1年。西堀の場合は、1個入ったら1個捨ててる感じ。
滝沢 生きるコツというか。
西堀 底辺にいても、いつも死ぬほど困ってはいないんだよね。みんな苦しかったら、這い上がろうとするじゃない? でも「這い上がろう」なんて気はないんです。このお笑い界、「楽しい」はあるから。
滝沢 言い換えれば、「楽しい」以外はあまりないですね。うん。
西堀 楽しい。仲間はいる。時間はある。昼まで寝てていい。…金と名誉以外は全て手に入れているかもしれない(笑)。
滝沢 僕らは『THE SECOND』で、日の当たる場所に引き上げてもらいましたけど、戦ったのは15年前のネタで、披露する場所が変わっただけなんですよね。立派な木があったとして、そこが公園だったら、よく見るただのデカい木じゃないですか。だけど、もし神社に植えられていたとしたら、ご神木なんですよ。中身は変わらなくても、価値を認めてもらえる場所っていうのはあるんだなと。
西堀 偶然なんだけどね。
滝沢 そう。突然追い風が吹いてきて再浮上できたけど、もし辞めていたらどうなっていたんだろう。SNS界隈で活路を見つけようとしていそうだけど、それもたぶん当たっていないんだろうな(笑)。
西堀 そんな僕らのこれまでの歩みを、この本ではみじめな部分も含めて明かしています。今働いていて、先が見えずに「どうしよう」と思っている人に、我々みたいな存在もいると知ってもらえたら、力になるんじゃないですか。
滝沢 僕らと同世代の人に共感してもらえたらうれしいけど、若い人たちにはどうだろう。
西堀 でも、楽になるんじゃない? ちょっと年上の、下に見られる存在として、「こんな人もいるんだ」って。
滝沢 できないことはやらないとか、無理をしないとか。それなりにメッセージにはなりそうだけどね。
西堀 世の中にはビジネス書や自己啓発本がたくさんありますが、そこに一石を投じる人間らしい本にはなったと思います。スペックや数字で見ると、全てのことで僕らより上で、何でも持っているのに、悩んでいる人もいるわけですよね。みんな大変だなと思うけど、こんな生き方もあるんだと、気軽に読んでいただければうれしいです。
2024年11月 マシンガンズ
【目次】


