新刊『 創って学ぶCPUの基本 3bitプロセッサを設計しながらゼロから仕組みを理解する 』(檀上京之介著、日経BP)を読むと、なぜ「コンピューターの頭脳=CPU(中央演算処理装置)についてスッキリできる」のか。秋田純一・金沢大学融合研究域教授が「CPU自作ムーブメント」活発化の背景とともに読み解きます。

 CPU(中央演算処理装置)の自作が流行っています。CPUといえば、コンピューターの頭脳です。異論はあるかもしれませんが、実際に流行っているのです。それも若い人が、とても活発に、CPUを自作しているのです。もちろんCPUなんて作らなくても、コンピューターは使えます。それでも、コンピューターが複雑で魔法のようなブラックボックスになってきたことで、逆に中身を知りたい、という根源的な欲求からのムーブメントのように思えます。

 CPUの自作もいろいろあって、FPGA(書き換え可能な集積回路)で大規模なCPUを作る事例も多いのですが、それだとブラックボックスが残ってしまい、さらに中身を知りたい、という欲求が出てきます。

 この本は、まさにCPU自作を実践し、「MakerFaire」をはじめとする展示会でも有名な檀上京之介氏が、あえて3bitという、あまり聞かない半端なビット数を使って、(さらにあえて条件分岐命令を削ってまで)シンプルさを追求したアーキテクチャーのCPUを、実際に「作る」本です。ここまでシンプルなことで、CPUというものを非常に根源のレベルまで理解できて、心からスッキリできる本です。そして単に設計するだけでなく、論理回路の教科書的な側面もあり、また実践的な電子回路の教科書的な側面もあります。

<評者> 秋田 純一(あきた・じゅんいち) 金沢大学融合研究域教授
1970年名古屋市生まれ。東京大学の電子情報工学専攻で博士(工学)。金沢大、公立はこだて未来大学を経て、金沢大学融合研究域教授。専門は半導体と、広い意味でのものづくり"Make"、および両者のつながり。著書に『揚げて炙ってわかるコンピュータのしくみ』(技術評論社)、『感電上等! ガジェット分解のススメ HYPER』(共著、オーム社)など。無駄な抵抗コースターやM5Stack関連モジュールの販売も行っている。好きなプロセスはCMOS0.35μm。好きな半田はSn:Pb=63:37。