宇宙学・物理学・生物学・聖書・歴史・哲学をはじめとする最新の証拠をもとに「科学」と「宗教」の考察と対話を扱った書籍が、新刊『 神と科学 世界は「何」を信じてきたのか 』(ミシェル=イヴ・ボロレ、オリヴィエ・ボナシー著、鳥取絹子訳、日経BP)だ。元Google日本法人名誉会長、元Google米国本社副社長兼Google日本法人代表取締役社長で、現在は東京国際工科専門職大学の学長を務める村上憲郎さんが、本書の魅力を解説する。
本書が、いかに優れた書籍であるかは、ハーヴァード大学教授ロバート・ウィルソン博士による序文に尽くされている。それにもかかわらず、あえて私が書評として付け加えるのは、個人的な次の点である。
まず、科学史としての分かりやすい網羅性である。それは、我々人類が、生き、死に、生活している、この宇宙の成り立ちの真理を、解き明かしていく苦闘の歴史の網羅性である。ここで苦闘というのは、「旧約聖書」をよりどころとする宗教に対する苦闘である。
私は本書を、若い人たち、具体的には、中学生や高校生に読んでいただきたい。私が科学に目覚めたのは、高校の図書館にあった、本書にも10回以上名前の出てくるガモフによる著作『不思議の国のトムキンス』に出合ったからであった。あの時、もし、本書と出合っていたらと、つい思ってしまう。
私が、高校を卒業して大学に入学したのが、1965年。たちまちにして、マルクス主義に感化され、過激な学生運動にのめり込むことになったわけであるが、高校時代に本書を読んでいたらと、詮方無い「たられば」話を、つい思ってしまうのである。
私は現在、原始仏教徒を自称しているのだが、この境地にたどり着くのに1970年の大学卒業以来、少なくとも20年を要したからこそ、「たられば」話を思ってしまうのである。
