「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」受賞者で本が好きなあの人に、本&映画&ドラマとの付き合い方、学びの取り入れ方などを聞きました。今回は、「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤友子さんのおすすめ本を紹介します。

好きな本は、繰り返し読む派。ドッグイヤーだらけの本を紹介

 「フィットする暮らし、つくろう」をコンセプトに、生活まわりの雑貨や洋服などの物販、コンテンツ配信を行う「北欧、暮らしの道具店」の店長・佐藤友子さん。子どもの頃は、活字嫌いで本に苦手意識があったそう。自ら手を伸ばしたのは中学生の頃。「装丁の美しさに惹かれて、吉本ばななさんの『TUGUMI(つぐみ)』をお小遣いで買いました」。

 本は次々に新しいものを手に取るより、好きな本を何度も繰り返し読むタイプ。「おすすめする3冊も、何度も読み返してドッグイヤーだらけ。私の価値観や経営者としての姿勢を肯定し、背中を押してくれた、私自身の人生の景色を変えてくれた本ばかりを厳選しました」。

 一方、自身もオリジナルコンテンツの製作を手がける映画やドラマは、勉強も兼ねて、新しいものを積極的に見ている。「両親の影響で子どもの頃から映画好き。時間があり余っていた20代の頃は、1日3本見ることも。当時、映画館で見た『かもめ食堂』と『アメリ』は、私の人生に最も影響を与えた作品です」。コロナ禍前は、ひとり時間をもらってのレイトショーも楽しみだった。「今は家事をしながらタブレットでドラマを見るのが日課です」。

佐藤友子さん(46歳)
佐藤友子さん(46歳)
クラシコム取締役、「北欧、暮らしの道具店」店長

佐藤友子さんおすすめの3冊

人気ブランド創業者のブレない強さに学ぶ

『生きる はたらく つくる』
『生きる はたらく つくる』
皆川 明 著/つるとはな

 ファッションブランド「ミナ ペルホネン」の創業者兼デザイナーの生き方と仕事の哲学。「魚市場でバイトをしながら、たったひとりで立ち上げたブランドが世界的に有名になっても、創業から変わることなく、お客様の『よい記憶をつくる』ための仕事に注力する。皆川さんのブレない魂に感動し、自分を曲げない強さに学べます」。

3世代にわたって愛される雑誌の、妥協しないものづくりの奮闘記

『花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部』
『花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部』
小榑雅章 著/暮しの手帖社

 『暮しの手帖』創刊メンバーの元で働いた編集部員の回顧録。「恐れ多くも私たちの会社がやろうとしていることが正に『暮しの手帖』創刊時の編集方針と一緒で、スタッフ全員に課題図書として配ったほど。お客様と横並びでともに歩むものづくりの姿勢に、自分のスタンスやお客様との関係をより強固にしてもらいました」。

真の喜びや豊かさは、平凡な毎日のなかにある

『生活はアート』
『生活はアート』
パトリス・ジュリアン 著/主婦と生活社

 真の喜びは平凡な暮らしのなかにある。フランス人料理家で生き方の達人のエッセイ。「暮らしのなかにある小さくも豊かなディテールが好きで、そういうことを誰かと共有できる仕事ができないかな…と思っていた24歳のとき、タイトルそのものに救いを感じて手に取った本。起業の意思決定に大きな影響を与えてくれました」。

佐藤さんが何度も見返す【バイブル映画&ドラマ】

映画:『リトル・フォレスト 夏・秋』

 「セリフを空で言えてしまうほど繰り返し見ていますが、見るたびに描写表現に新しい発見のある、いくら見ても見飽きない映画です」


映画:『マイ・インターン』

 「主人公の女性経営者役のアン・ハサウェイと自分をダブらせながら、責任ある立場に疲れたときに見て、元気をもらっています


ドラマ:『僕の姉ちゃん』

 「いい意味で“自足”する女性を描いていて、家や衣装などのディテールもいちいちかわいい。原作者の益田ミリさんも大好きです」


ドラマ:『私たちのブルース』

 「オムニバス形式の韓国ドラマで、主人公が変わるたびにさまざまな感情を揺さぶられます。いつかこんな作品をつくってみたいです」

※今回紹介している本には、新刊では手に入らないものもあります

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取材・文/宇佐見明日香 写真/冨田 望(佐藤さん)

日経WOMAN 2023年1月号より転載]