「どんな仕事も断ってはいけない」は勘違い。むしろ「どんな仕事も断っていい」。あなたが今、どんな仕事を抱えているのか、あなたにはどんな能力があって、どれだけ時間があるのか、そういったことを上司が把握していないから、見当外れの、嫌な仕事を持ちかけてくる。では、どうやって把握してもらうのか? 書籍『嫌な仕事のうまい断り方』(山本大平著/日経BP)から抜粋、再構成してお届けする。
上司はあなたのことを知らない
大前提として、仕事は断ってもいいものです。とはいえ、何かに対して「いいですよ」「できますよ」と答えるのに比べると「ダメです」「できません」と答えるのは、あまり気分のいいものではありません。
やはり人間、ノーと言うよりイエスと答えるほうが、気持ちが楽なのです。
なので、嫌な仕事を依頼されて断るくらいなら、そもそも、嫌な仕事を依頼されずにすむように、予防策を講じておきたいと思うのは、なんら不思議なことではありません。
では、その予防策とはどのようなものでしょうか。
そもそも、上司はなぜ、あなたが嫌だと思う仕事を振ってくるのか。
あなたに期待しているから、あなたならできると思っているから、あなたになら頼みやすいから、あなたがたまたま近くにいたから……いろいろな可能性があります。
そして、きっと一番可能性が高いのは、上司によるあなたへの理解不足です。あなたがどんな人なのか、あなたがいま、どんな仕事を抱えているのか、あなたにはどんな能力があって、どれだけ時間があるのか、そういったことを把握していないから、あなたから見ると、見当外れの、嫌な仕事を持ちかけてくるのです。
仕事が忙しすぎるという悩みを抱えるのは、仕事ができる人だけです。
ですから、嫌な仕事を断らずにすむように、嫌な仕事を持ちかけられたくなかったら、あなた自身のこと、そして仕事状況を上司に把握しておいてもらう必要があるのです。
もしも「いつも嫌な仕事ばかり押し付けられる」と思っている人がいたら、その理由は、本当のあなたと、上司の見ているあなたとのギャップにあるのだと思います。
そのギャップを埋めるには、本当のあなたを上司の見ているあなたに近づけるか、上司の見ているあなたを本当のあなたに近づけるか、どちらかでしょう。
私ならもちろん、上司の見ている私を本当の私に近づけます。「いやいや、私はそういう人間ではありませんよ、これが私ですよ」というように、上司の誤解を解くイメージです。
しかし実際には、上司の思うあなたに、本当のあなたを近づけているケースが多いようです。これは、上司を会社に置き換えると、もっとわかりやすくなるでしょう。
多くの会社員は、会社が思うあなたに、本当のあなたをなんとか近づけようとしすぎているのです。
入社面接のときのことを思い出してください。
そこで、本音を話しましたか? 本当の自分を偽りませんでしたか?
入社したいがためにもしも自分を偽っていたなら、会社、そして上司があなたのことを誤解しているのも仕方のないことです。
嫌な仕事を振られないようにするには、その誤解をなんとかして解く必要があるでしょう。
「素」でいる
あなたのことを周囲に誤解させないために大切なのは、ありのままでいることです。素でいることです。
本心を隠さないことです。100メートルを8秒で走れそうには振る舞わないことです。上司の言葉に二つ返事でどんな仕事でも引き受けるようには見せないことです。
職場でずっと職場向けの自分を演じてきた人には、この素でいるというのは、なかなかハードルが高いことかもしれません。
しかし、これからも職場向けの自分を演じ続けていては、絶対に本当のあなたと会社の思うあなた(=あなたの演じてきた職場向けのあなた)とのギャップは埋まりません。
その結果、嫌な仕事が舞い込み続け、断り続けなくてはならなくなります。そうでなければ、嫌な仕事を受け入れ続けるしかありません。
そして、自分を偽り続けるのはしんどいものです。思い出してください。赤ん坊のときに偽って生きていましたか? いませんよね(笑)。
だったら、最初から素でいたほうがずっと楽です。
素でいるとはたとえば、実家にいるときのように振る舞うことです。
といっても、身なりに気を使わないとか、自由気ままに過ごすとか、そういう意味ではありません。
そうではなく、したいことをして、したくないことはしない、そういう人間なのだということを、隠さないことです。
嫌な仕事を振られたら断ることもある人なんだなと、思ってもらうことです。
そして、そう思ってもらうには、実際に嫌な仕事を断るのが最も効率的です。
私はいつでも素です。新卒で入ったトヨタでも、その後、移ったTBSでもアクセンチュアでも、独立したいまも、どこにいても素でいます。
なので、嫌な仕事が舞い込んでくることは、どんどん無くなっていきました。
山本大平著/日経BP/1650円(税込み)


