私たちは、悩むことは大切だと考え、そこに費やす時間をあまり気にしません。しかし、それがいつの間にか「解決につながらない悩み方」になっていることがあります。その結果、問題は前に進まず、年間900時間もの時間を失うことも。では、どうすれば解決につながる悩み方ができるのでしょうか。新刊『 悩み方が10割 「どうしよう?」が「行動」に変わる頭の使い方 』から一部抜粋してお届けします。第3回は、「悩みを実際に行動に変えるには?」についてです。
2カ月で8キロ減は「小さな一歩」から始まった
悩みを行動に変えるとき、最初の行動は小さければ小さいほど成功しやすいです。
そこで、「小さな一歩」でダイエットに成功した友人の話を紹介させてください。
その友人は45歳の男性で、金融業界の大企業で執行役員の職に就いています。
彼が抱えていた最大の悩みは「体重が右肩上がりに増え続けていること」でした。
会社の定期健康診断では、内臓脂肪の増加が指摘され、悪玉コレステロールの数値も跳ね上がっていました。毎朝シャワーの後に鏡でぽっこりと前に出た自分のお腹を見るにつけ、「ああ、オジサンくさくてカッコ悪いよな……」と、密かに、しかし深く悩んでいたそうです。
彼は「よし、ダイエットして健康な体を取り戻そう!」と決意しますが、自分の「弱み」を冷静に理解していました。
まず、根っからの運動嫌い。
ジョギングを始めたり、フィットネスジムに通ったりしても、それが強烈なストレスになる未来が見えている。さらに役員という立場上、夜の会食や接待が週に何度も入り、食事の回数やお酒を減らすことは物理的にも立場的にも難しい。
しかし、ダイエット医療薬に頼るのも、どうも気が乗らない。
制約だらけです。「じゃあ、痩せられないじゃん!」と思いますよね。
結果から言うと、彼はたった2カ月でなんと8キロものダイエットに成功したのです。
内臓脂肪の数値も正常値まで減少させました。
自分の弱みから行動をデザインし、強みで行動を加速させる
では、運動もせず、極端な食事制限もしなかった彼が何をしたのか。彼が踏み出した「小さな一歩」は何だったのか?
それは、「毎日、朝起きた直後と夜寝る前の2回、必ず体重計に乗ること」。
ただこれだけで、本当に8キロのダイエットに成功。
「体重計に乗る」というハードルの低い小さな一歩が彼のマインドと行動に変化をもたらしたのです。
体重が少し増えていた朝は、「あ、昨日の夜の会食で、締めに食べたあの雑炊が余計だったかもしれないな。よし、今日はその分、ランチやディナーの炭水化物を少し減らそう」と当日の行動を微調整。
体重が少し減ってきたら「やはり夜ごはんの炭水化物を抜くのは、体重減少という結果に直結する。これからは会食でも、夜はできる限り糖質をとらないようにしよう」。
このように、自分の中で仮説と検証を繰り返し、独自のルールを設定していきました。
そして、体重という「数字」が減ってくることが彼の自信になり、モチベーションに変わっていきました。
やがて彼は「1週間の総摂取カロリーという数字と、体重という結果指標をどうマネジメントするか?」という目標値を設定し、毎日嬉々として体重計に乗り続けました。
彼は長年、経理や財務の仕事をしてきた人間なので、彼の中にあった強力な「数字管理能力」や「データを分析して改善する力」という、自身の「Can(できること)」が見事に活用され、ダイエットのための「小さな一歩」になっていったのです。
苦手な運動(できないこと)で戦うのではなく、得意な数字管理(できること)に悩みを置き換えて解決した、素晴らしい事例です。
小さな一歩は、大きな決断である必要はありません。
自分の特性や性格、ライフスタイルと向き合いながら、無理なく、今日この瞬間から始められる一歩で良いのです。
必要なのは、その小さな一歩を踏み出すことで、ちょっとずつ自分の悩みが解消していく手応えを感じること。その「プロセスそのもの」が、あなたの悩みを軽くし、前に進む原動力になります。
堀昌之(著)/日経BP/1980円(税込み)


