年に何百冊もの本を読み、読書の面白さを発信しているインフルエンサーたちが、一年の初めに読みたくなる本はどのような本なのか。SNSで活躍している読書インフルエンサーに聞いた「今年読んでほしい」注目のビジネス書を紹介する。今回は、インスタグラムでフォロワーが12万人いる読書インフルエンサー・やまてつさん。

<このインフルエンサーに聞きました>

やまてつさん( Instagram

やまてつさん(Instagram)
やまてつさん(Instagram)
  • フォロワー:12万人
  • 年間読書冊数:100~300冊
  • 好きなジャンルの本:ビジネス書、小説、哲学書など
  • 読書術:読書のお供にしているのは「YouTube」。意外に思われるかもしれませんが、時々、要約動画を見ることもあります。実際に本をめくって読むことを楽しみつつも、すきま時間にYouTubeで紹介されている動画をながら聞きしています。よりインプットの質が上がる気がします。

1年の初めに読みたくなる、おすすめのビジネス本

1. 『「やりたいこと」が見つかる時間編集術』 長倉顕太著、あさ出版

    <こんな人におすすめ>
  • 時間の使い方に苦手意識がある人
  • 今年こそ時間を有効に使いたい人

 「時間を編集する」という切り口で、限られた人生の時間を有意義に使うために必要な考え方が書いてある本。人生における4つの資産とは、「時間」「能力」「人脈」「お金」であり、このなかで、自分でコントロールできるのは「時間」だけ、と著者は言います。

 その資産を増やしていくために「時間を2つに分ける」という視点がシンプルながら秀逸で、私自身も常に意識するようになりました。全体的に分かりやすい文章で書かれており、実践に移しやすい具体的な方法が書いてあるのもおすすめポイント。一方で、テクニックばかりに焦点を当てた内容でもなく、人生をどう捉えるかといった根本となる考え方に触れている点も魅力です。

 意識していなければあっという間に過ぎてしまう1年。自分の時間をさらに有効に使う思考を身に付けるために読んでおきたい1冊です。

2. 『エッセンシャル思考』 グレッグ マキューン著、高橋璃子訳、かんき出版

    <こんな人におすすめ>
  • やりたいことが決められない人
  • いつも忙しさに追われている人

 私がいつも迷わず人におすすめしてしまうビジネス書の一つ。情報があふれ、選択肢が増えた現代だからこそ、何を捨てて、何に注力するのかが大事。人生のよりよい取捨選択ができるようになる考え方や実践的なテクニックがまとまっているのがこの本です。

 「とにかく毎日忙しい」「いつも何かに追われている」「なんとなくこのままでいいのか不安…」という人にはぜひ読んでほしい1冊です。

 また、続編である『エフォートレス思考』(グレッグ・マキューン著、高橋璃子訳)も、イチオシです。この2冊を併せて読むことで、さらに、選択する力、決断する力が磨かれると思います。結果として、「人生を豊かにする思考」が身に付くのではないでしょうか。

3. 『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』 佐々木典士著、ワニブックス

    <こんな人におすすめ>
  • 部屋にものがたくさんある人
  • 何かを捨てるのが苦手な人
  • 今の自分を変えたい人

 タイトル通り、ミニマリストとしての生き方や考え方が書かれています。ものを手放すためのテクニックも豊富に紹介されていて、学びになります。

 読みどころは、「ものを手放すこと」についての考え方の部分。私自身、ものを手放すのが苦手でしたが、本書を読んでから少しずつ「捨てる」という行為のポジティブな面に気づけるようになりました。

 これは、ものに限りません。環境や条件など、今、自分がいる場所や人間関係などにも転用することができます。何かを得るためには、どこかに余白をつくらなければいけない。「手放す力」は、同時に「生き方を変える力」です。そのヒントがたくさん詰まった、活用幅の広い1冊です。

4. 『諦める力』 為末大著、プレジデント社

    <こんな人におすすめ>
  • 頑張っているけれど結果が出ない人
  • なかなかうまくいかない人

 「勝てないのは努力が足りないからじゃない」というサブタイトルにハッとさせられます。この本の著者は、400mハードルでオリンピックに3回も出場した為末大さん。世界を舞台に第一線で活躍し続けた為末さんが、「諦める」ことを語るからこそ、そこにずしりと重みを感じます。

 私が、本書を初めて読んだのは高校生の頃。当時は正直それほど印象に残っていなかったのですが、社会人になって読み返したときには、まさに「衝撃」の一言でした。

 重ねた人生経験によって、本から受け取るメッセージや印象が変化していくのは、読書の魅力の一つですよね。一度読んだことがある人も、ぜひまた時間を置いて、めくってみてほしい1冊です。

 「諦めることは逃げることではない」。この本を読むと、諦めることを前向きに受け入れられるようになると思います。

5. 『運転者』 喜多川 泰著、ディスカヴァー・トゥエンティワン

    <こんな人におすすめ>
  • どんな人でも!

 私が本紹介で取り上げるたびに毎回大きな反響があるのが、この本。『運転者』は物語ではあるのですが、自己啓発やビジネス書に近いエッセンスが詰まっていて、人生の学びが得られます。

 主人公は、保険営業を担当する中年ビジネスマン。仕事では突然大量解約を受け、家庭でも問題は山積み、何もかもがうまくいかなくなって行き詰まり、「なんで俺ばっかり…」とつぶやいたそのとき、近づいてきたタクシーは「運」を「転」ずるという不思議なタクシーで…と物語が始まります。

 本書の読みどころは多過ぎて語り尽くせないのですが、個人的には、後半部分の意外な展開がグッときます。とにかく読みやすくて、泣けて、学びがたくさんある。

 物語のなかで、「私たちは自分の人生をどう生きるべきか」という深い問いをぶつけてくる点も魅力です。涙なしには読めません。どんな立場の人でも楽しめる、いろいろな読み方ができるおすすめの1冊です。

構成/長野洋子(日経BOOKプラス編集部) 写真/やまてつさん提供