内容紹介
1990年代が米国経済にとって”素晴らしい10年(The Fabulous Decade)であったことは疑いない。低い失業率にもかかわらず物価が安定し(平均3.2%)、低失業と低インフレを同時に達成した時代であった。このマクロ経済政策が目指してきた目標を、この時期になぜ実現できたのか、1990時代の米国経済から学べる教訓を探った。著者は、クリントン政権でそれぞれ、米・連邦準備理事会(FRB)副議長と経済諮問委員会委員長を務めた著名な経済学者。経済繁栄の90年代をFRBの金融政策を軸に解明し、結論は単純明快。それは「運が良かっただけ」というもの。この意味は様々な分析作業のうえでの到達であり、将来の政策運営のあり方を考えるうえで極めて重要である。
この真摯な分析こそ、米国の底力なのかもしれない。翻って、わが日本には学ぶべき点が多い。