内容紹介
2007年は、市場と法をめぐる時代を画する大きな出来事が相次いだ。まず市場のヒーローであったライブドア・堀江貴文、村上ファンド・村上世彰の両被告に一審で実刑判決が下された。会社法で1年凍結された三角合併が解禁され、さらに証券取引法などを改正した金融商品取引法が施行された。これは市場ルールの法制化である。米系ファンド、スティールパートナーズのブルドックソース株のTOB(公開買付け)に関して、東京高裁は「濫用的買収者」と認定、ブルドック側の買収防衛策が発動される事態となった。
もう行政の出番はない。市場は自由、だがルールを逸脱したものは法によって裁かれる時代に日本も入った。だから、業界の慣行であった談合は、徹底的にルール違反として摘発を受けるようになった。他方で裁判員制度導入がすぐそこに迫っている。われわれ国民も、否応なく司法と向き合わざるを得なくなった。
本書は、こうした「法化社会」へと向かう潮流を丹念に追いかけてきた法務報道のベテラン記者による深層レポートである。インサイダー取引、粉飾決算、敵対的買収などを題材として、市場国家へと舵を切った日本の現状と、法の担い手たちの素顔に迫る。