内容紹介
貧困国問題のキーワード「ボトム・ビリオン」(最底辺に生きる10億人)の出典、ついに日本でも刊行。アフリカ経済問題の第一人者による援助にかかわるすべてのプレイヤー(国、機関、団体)への根本批判、超辛口の書。
柔軟性を欠く先進国、
縦割りの国際援助機関、
貪るだけの石油・建設企業、
そして、知性を欠いた善意のみに終始するNGO--
著者は、いずれも地獄の縁に生きるアフリカの人々を本気で救おうとはしていない、と断じる。
本書は一般向けに(世界の有権者へのアピールとして)書かれているが、最新の研究成果から、内戦と民族間の憎悪・所得の不平等・政治的抑圧などとの間に相関関係がないこと、民主制の下でも援助金が機能しない場合が多々あること、天然資源の収益が大きい場合民主政府は独裁政府の経済成長を上回れないこと、根本的な政策転換は内戦後ほど起きやすいこと等々、統計データに基づいて意表を突く事実を陸続と挙げ、既成の貧困国イメージを粉砕していく。そして、最貧の国々を捕らえる四つの罠--1「紛争の罠」2「天然資源の罠」3「内陸国であることの罠」4「劣悪なガバナンス(統治)の罠」の新たな克服法を提唱する。
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