内容紹介

リチャード・ブックステーバー著『市場リスク 暴落は必然か』に続いて日経BP社が送るサブプライム問題検証の第二弾。

ほんの少し前のことを考えると、世界経済は順調に拡大し、先進国、新興国を問わず、株価も上昇していた。「銀行預金から投資信託へ」などと叫ばれてもいた。その主役は、資本市場のグローバル化とデリバティブなどの金融テクノロジーの発達を背景に、企業金融、資産運用といったビジネスを変革してきた投資銀行。伝統的な商業銀行を圧倒するまでになった投資銀行は、まさに金融界の王者といえた。

わが国でも、スーパーエリートは、霞ヶ関の官庁には進まず、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーといった超一流投資銀行を就職先に選ぶようになった。その矢先に、サブプライム問題が起き、投資銀行ばかりかヘッジファンド、プライベート・エクイティ・ファンドなども含めた金融界全体が躓き、深い傷を負った。「信用貨幣を経典としつつ、金利を賛美歌としながら、中央銀行が教会の役割を果たしている」金融システムは、今回のサブプライム問題を契機に大きな転機を迎え、我が世の春を誇った投資銀行のバブルは終わった、と著者はみる。著者は東京銀行、チェースマンハッタン銀行での経験を踏まえ、邦銀が目指してきた憧れの投資銀行ビジネスの脆弱さを「レバレッジ経営の末路」「クレジットという幻想」「バブルは金融の友か」などの独自の観点から検証する。