内容紹介
空理空論、現実離れした議論が横行する環境、エネルギー問題。そこにリアルな認識での議論をと一石を投じた1冊。著者の結論は明快だ。日本のエネルギー問題と環境問題を一挙に解決する救世主、それは天然ガスである。CO2排出量は石炭火力の3分の1であり、積極的に石炭・重油を天然ガスで代替すれば京都議定書も容易に達成できる。しかも、天然ガスは日本の近隣地域、ロシアも含めた「広域極東」に大量に眠っており、エネルギーの安定供給という観点からも天然ガスが優れている。
したがって、風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーや、最近脚光を浴びているバイオ燃料などは、天然ガスの足元にも及ばない。
ロシアから欧州につながる天然ガスパイプラインに象徴されるように、欧米では天然ガスの利用が盛んである。一方、わが国では天然ガスの利用度が先進国で最低であり、その力に無知である。わが国有数の資源エコノミストである著者が、あまり真面目に取り上げられてこなかった資源である「天然ガス」について一般向けに書き下ろした。ロシアと中国、欧州との天然ガスを巡る綱引きなど、天然ガスの地政学についても詳述している。