内容紹介

インダス文明の流れを汲むスピリチュアルなインドと、ITをテコに経済的な離陸を果たし、経済大国に向かって突き進むインド。インドを贔屓する外国人は大抵、インドのもつ精神性に惹かれ、とことん嵌ってしまう。だが、世界最大の貧困人口を抱え、その社会はカーストと宗教に引き裂かれた、矛盾に満ちた国家がインドである。

本書は、旧宗主国である英国のジャーナリストがインド社会の奥深くに入り込み、政治、経済、社会のありのままの姿を描いたルポルタージュ。
サービス部門から経済成長がはじまった特異な経済、非効率で汚職が蔓延する役所や裁判所、選挙を左右する下位カーストのパワー、イスラム原理主義と鋭く対決するヒンドゥー原理主義の素顔、いまなお隠然たる力を誇るネルー・ガンジー王朝など、インド社会の不変な部分と変わりゆく部分を手厳しく、かつ温かに描いている。著者は、米中にインドを加えた3国が世界を動かす時代がやってくると予想し、そのためにインドが克服すべき課題も挙げている。