内容紹介

 最近、部下の育成に悩む管理職は多い。基本的なあいさつができなかったり、メールに依存し過ぎて直接対話するのを避けたりと、若い社員を中心にコミュニケーションを取るのが苦手な部下が増えているからだという。そんな悩める上司に、自他ともにコミュニケーションのプロと認める福田健・話し方研究所会長が、事例を基に部下が育つ「話し方」のポイントを分かりやすく解説する。

 本書の特徴は、88話のすべてがそれぞれ5分以内で読める点だ。忙しい読者のことを考慮した。通勤電車の中をはじめ、ちょっとした待ち時間に気軽に読むことができ、大事な気づきを与えてくれる。

 構成は、コミュニケーションの基本、目的、説得、聞き方、実践の5章立て。それぞれの冒頭に解説を入れており、読むべきポイントを整理している。本書のターゲットである現場リーダーに対して、コミュニケーションにまつわる今日的な問題を分かりやすく説明しているので、この解説から入って1話1話を読むとスッと頭に入っていく。

 もっとも、どこから読んでも構わない。パラパラとめくって興味のあるテーマを拾い読みしてもいいだろう。ほとんどが1話で完結しているからだ。あらかじめ前後の話を読んでおく必用はない。

 福田会長は、普段の会話はもとより、講演といった高度なコミュニケーションにも長けている。話し方研究所の会長なので当然かもしれないが、講演がうまい大きな理由の1つに、3~5分程度の小話をいくつも頭の中にある引き出しに用意している点がある。講演のテーマに合わせて、小話を巧みに引っ張り出して受講者に披露。いずれも具体的な話に基づいているので、聞いている人間はコミュニケーションの場面を思い浮かべることができ、「なるほど」と納得してしまう。

 まさに本書は、福田会長の引き出しにしまってある数多くの小話の中から、部下をもてあます最近の上司に参考になる88の小話を厳選して編集したといっていいかもしれない。部下のタイプや伝えたい目的などに応じて、小話をピックアップし、部下とのコミュニケーション向上に役立てていただきたい。さらに朝の朝礼など、部下の前でコミュニケーションの重要さを説明する際に、88の小話はきっと役に立つはずだ。