内容紹介
本書原題の「エコフォビア」とは、子どもたちの心に刷り込まれた「自然恐怖症」を指す。いったい誰がそんなことをしたのか?皮肉にもそれは環境保護に熱心な教師や親たちであると、著者のソベルは言う。ごく身近な自然への共感や親愛を育む前に、子どもたちは、真面目で善意にあふれた大人たちによって、「原油の海への大量流出」、「熱帯雨林の破壊」、「酸性雨の被害」、「滅びゆくたくさんの動物たちの悲しい姿」の映像やエピソードにさらされる。現状では、それらが“暴風雨”となって、子どもたちの自然へとつながろうとする芽を吹き飛ばしてしまっている。長年、子どもの発達と自然のかかわりを研究し、環境教育を実践してきた著者が提唱するのは、4歳から7歳までの「共感」ステップ(仲間になる動物を探す、鳥になる…)、8歳から11歳までの「探検」ステップ(ランドスケープ教育、川に沿って行ってみよう…)、12歳から15歳までの「社会活動」ステップ(秘密基地を作ろう、地域を知ったうえで何かをやってみよう…)など、あくまで身の周りの自然・身近な環境との楽しい交歓をベースにした活動メニューなのである。また本書は、オバマ政権で新展開が期待される「『子ども期』をターゲットとした米国の環境教育の見直しの大きなうねりの中心に位置する著作・マニフェスト」(訳者)でもある。