内容紹介
本書の目的は一種の「オーラル・ヒストリー」である。つまり、「失われた一〇年」のこと、そのときの政策の失敗や成功を振り返りながら、同時にわれわれの経験をもとにして、今後の世界経済の行方をも予想していこうというのが、筆者がこの本の目論見なのである。世界経済の行方を予想するといっても、ここでは筆者自身がデータを下に、経済予測モデルを使って先行きを予測するという作業をしているわけではない。そうではなくて、過去の経験と、将来の見通しについて、筆者が選んだ九人の対談者の方々と徹底的に議論するというのが、この本の方法なのである。(本書「まえがき」から)著者が選んだのは、隈研吾、神谷秀樹、黒田東彦、溝口善兵衛、河北博文、藤本隆宏、ジェラルド・カーティス、中原伸之、竹中平蔵の9氏。
いずれ劣らぬ、その道のプロ。建築家、隈研吾氏との対談では、住宅バブルの根っこに建築を規制することで供給を制限するゾーニング法があることを突き止め、「強欲」アメリカ資本主義の批判者である投資銀行家の神谷秀樹氏とは、「一国の政府単位では処理できない問題」(神谷)の底なしの深さを語り合う。丁々発止の議論が、経済危機後の世界がどうなるかを考えるのに大いに参考になる。