内容紹介
トヨタ自動車副社長、日野自動車社長、同会長を務めた蛇川忠暉氏による初の著書。著者を一言で表現するならば、現状維持に甘んじることを許せない生粋の改革者、です。
トヨタ自動車ではグローバル展開を支える技術革新を、日野自動車では黒字転換への
経営革新を実践していきました。
これまで「トヨタの強さは改善(カイゼン)にある」と言われてきましたが、
それだけではないことを著者は教えてくれます。同社には改善を越える大きな
改革の必要性を訴え、実現する人がおり、そうした人を支える風土があるのです。
著者は、トヨタが地方の一企業から世界的なメーカーへと躍進を遂げる中、
現場で厳しく鍛えられながら数々の改革を実践し続けました。
生産技術分野では、弱冠28歳で「カローラ」向けに世界最速の量産エンジン
ラインを、取締役時代には300億円を掛けて「レクサス」の世界最新鋭車両
工場を構築。
購買分野では「世界最適調達」を実現し、事務部門を統括する副社長時代には
トヨタグローバルITネットワークの構築や、世界中の社員が共有すべき価値観を
まとめた「トヨタウエイ2001」を起案しました。
赤字転落した日野に社長として就任するや、トップダウンで矢継ぎ早に大胆な
改革を断行。受注生産への切り替えや、変種変量生産技術の追求、海外現地生産の
拡大、IT改革などを打ち出し、2004年度には同社を創業以来の最高利益に導きました。
ところが、こうした輝かしい経歴も、本人にとっては望まぬ人事を言い渡されるなど
“挫折”の連続。しかし、その挫折を新たな改革に挑むエネルギに変えていきました。
「人財育成とは、挑戦である」「失敗は、挑戦者のみに許される勲章である」
というのが著者の持論です。次代を担う若手社員には失敗を恐れず改革へ挑むことの
大切さを、企業にはそれに寛容な企業風土の醸成の大切さを説いています。
失敗や、思い通りにいかない境遇にもめげずに前に進む技術者の挑戦心を
鼓舞する1冊です。