内容紹介

担当者なら誰でもつまずく維持管理の悩みに効く!
ベテランの「知恵」が詰まった実務者必携の一冊


「予防保全の予算をどうやって確保すればいいのか」、「マニュアルのとおりにメンテナンスを進められない」--。本書の筆者である阿部允氏のもとには、こうした声が多く寄せられるという。技術や知識を十分に持っているにもかかわらず、メンテナンスがうまく進まないという現実。これを救うのが、ベテランの「知恵」だ。

本書では、筆者が40年にわたって旧国鉄や鉄道総合技術研究所、(株)BMCで培ってきた維持管理の経験をもとに、実務に直結する「知恵」を余すことなく披露。いまある「技術」や「知識」をメンテナンスにどう生かすか。構造物の管理者として、今後どのようにメンテナンスに取り組むべきか。課題と解決策が見えてくる、担当者必携の一冊です。



●主な内容
I メンテナンス技術の知恵

【 1章 メンテナンスの心構えと取り組み方 】
メンテナンスの基本は「自分のもの」 / メンテナンスは子育てだ / 使う立場で全系みれば、心配箇所が見えてくる / 橋の寿命は「人が決める」 ほか

【 2章 検査・点検(検査技術) 】
こもるところは腐食する / 検査の助けは雨上がり / 錆が見えたら接近しよう、健康状態「錆色判断」 / 斜角の橋は無理してる ほか

【 3章 診断 】
橋への期待は何なのか、「要求性能」知ってるか / 100年以上は当たり前 / 「部分」直して「全体」診よう ほか

【 4章 対策 】
「繕う」精神忘れるな / 強化するよりバランス保て / 長持ち塗装は素肌次第 / もうからない仕事は手抜きにつながる ほか

【 5章 マネジメント 】
橋より先に人を気遣え / 最優先はお客様(利用者と橋) / 長寿命化を生かしたビジネスモデル / 公共事業の新たな財源 ほか

【 6章 人材育成と情報の蓄積 】
橋守の目を育成しよう / 繕い、やりくり、分かち合い / マニュアルはマニュアルとして読め / 共有情報の管理は「属人的管理」と「一元管理」 ほか

II メンテナンスのキーワード

●メンテナンスの役割 ●橋守 ●橋守カルテ ●橋の寿命 ●長寿命化 ●検査と点検 ●定量的検査・診断 ●性能診断 ●冗長性と進行性 ●予防保全と事後保全 ●FMC(重要破壊部材) ●災害に対する脆弱性 ●BCP(事業継続計画) ほか




素晴らしい「技術」や「知識」があっても、「誠実な想い」がなければ優れたメンテナンスにはつながらない。 そして、それをつなぐのが「知恵」である---。 これはまえがき冒頭の言葉である。

世の中にメンテナンスのマニュアルや指南書が山ほどあるにもかかわらず、実際に現場に出てみると何かが足りないと感じたことはないだろうか。 それがここで「知恵」と表現されているものではないかと思う。

本書には阿部さんが「やりくり」を実践するなかから自ら取得した知恵が、惜しげもなくたくさん詰まっている。

                社団法人海洋架橋・橋梁調査会 審議役兼事務局長
                (前・国土交通省国土技術政策総合研究所所長)
                                  西川 和廣