内容紹介
多様化する需要が装置産業化を促す医療・健康産業、成長戦略のシナリオは?
新興国の人口増加と急激な経済成長が、世界に大きな衝撃を与えている。こうした動きの渦中にあって、大きな変革期を迎えようとしているのが医療・健康分野だ。
世界人口の急増が、医療ニーズを拡大させる。人は経済的に豊かになれば、さらなる長寿と健康を求めるようになる。その傾向は、洋の東西を問わず、古今一貫して変わらない。ただ、こうしたニーズの急拡大に、「人手にたよる」旧来型の医療システムは対応できない。医師の数を急に増やすことはできないからである。工業の進化過程にたとえていえば、医療がいまだに「家内制手工業」「工場制手工業」という段階にとどまっているからである。
拡大するニーズに対応し、一定水準の医療を低価格で多くの人に供給できるようにするには、多くの産業がそれを実践してきたように、医療を「工場制機械工業」にするしかない。すなわち、医療の装置産業化である。その準備はできつつある。
医療機器、医療関連技術の進化によって、人手にたよらずとも簡単に診断、治療方法を特定することが可能になってきた。エレクトロニクス技術やICTが、それを加速させる。クラウドを利用すれば、遠隔地の巨大データベースや高度な診断システムを世界中のあらゆる場所で使うことが可能になるだろう。
医療の装置産業化は、ニーズの多様化への答えでもある。これまでの医療は、均質なサービスを均等に提供するものだった。一方で、顧客のニーズは多様化している。新興国では、「ほどほどの質だが安価」な医療を求める層が拡大する一方で、「高価だが超一流」を求める富裕者層が増えている。高度なシステムは、運用によっては医療サービスの大幅な価格低減を実現するが、それを質的向上にも振り向けることができる。このことが、医療の二極化を強力に推し進めることになるだろう。
※第1章~第5章は、「医療・健康編」「食料・農業編」ともに同一の内容です。
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