内容紹介
著者の小林三郎氏は日本初のエアバッグの開発者で、ホンダの研究開発の最前線を走り続けた技術者。本書では、16年間に及ぶエアバッグ開発の“闘い"の末につかんだ「イノベーションを成功に導くための人と組織のつくり方」を具体的に説きます。「目先の銭を儲けようとしているだけではダメだ。よそと同じことをやらないで、もう一度、世界一の商品やサービスを生み出そう」と熱く語る講演を収録したDVDbookです。「私が若かった頃、おやじ(ホンダ創業者の本田宗一郎)が、我々にいろいろな話をしてくれたが、いつもカッと目を見開き、腕を振り、肩を揺さぶっていた。熱い想いがあふれ出んばかりだった。我々は、その迫力に圧倒された」(本書「はじめに」より)。故本田宗一郎氏の薫陶を受けながら著者はホンダイズムを身に付けていきます。「(おやじは)時々、目を真っ赤にして『バカヤロー』と怒鳴っていたが、それは『小学校しか出ていない俺だってお客様のことを考えれば分かるのに、なぜお前は考えないんだ』という問いかけがほとんどだった。いわば『お前ならできる』という期待」(本書「おわりに」より)でした。こうして著者は技術者として成長していきます。
イノベーションは未知の領域の壁登りに似ています。これまでの経験が全く通じず、データや情報がないイノベーションは、何らかのグリップを壁に打ち込まないと登れません。
では、イノベーションの壁に打ち付けるグリップとは何でしょうか。著者は、故本田宗一郎氏の薫陶と困難を極めたエアバッグの開発を通じ、それが「コンセプト」であることにたどり着きます。ここでいうコンセプトとは、顧客に提供する全く新しい価値を意味します。すなわち、ホンダ流コンセプトです。実際、ホンダの多くの新車開発責任者は「いいコンセプトができると、必ずいい商品と技術ができる」と口をそろえています。このホンダ流コンセプトを見いだすためには、「若手技術者」「ベテラン技術者」「社長・役員」の連携と“闘い”が必要です。仲良しクラブでは絶対ダメ。ホンダではそこで真剣勝負が繰り広げられます。
イノベーションで成功するために、「若手技術者」「ベテラン技術者」「社長・役員」それぞれが、具体的に何をすればよいのか。本書はここを徹底的に追究します。
★DVDの内容の一部は、こちらからご覧いただけます。
【著者紹介】
1971年本田技術研究所に入社。16年間に及ぶ研究開発の成果として1987年、日本初のエアバッグの量産/市販に成功。2000年にホンダの経営企画部長に就任。2005年12月に退職後、2010年4月から中央大学大学院戦略経営研究科 客員教授。
(小林三郎氏の前著『ホンダ イノベーションの神髄』の紹介は、こちら)