内容紹介

九州・別府の温泉街に誕生した、外国人が半分を占めるスーパーグローバル大学が、日本の未来のお手本になる。

全学生6000人の半分が80カ国から集まった外国人。教員も半分が外国人。授業は、日本語と英語の2本立て。卒業する頃には、日本人学生も外国人学生も、日本語+英語+αのバイリンガルとなり、日本で世界で活躍する。

そんな夢みたいな大学が九州大分県別府市の温泉街のハズレの山の上にあります。その名は立命館アジア太平洋大学。通称APU。2000年の開学以来、日本の大学のグローバル化の先陣を切って、文字通り国際的な教育環境のもと、グローバルな人材を次々と生み出してきました。

APUの成功の秘密。それは「混ぜる」ことにありました。
日本人学生と外国人学生を混ぜて、一緒に学ぶ、一緒に暮らす。
学生と教員とを混ぜて、参加型の授業を行う。
教員と職員とを混ぜて、大学を企業以上にダイナミックな改革組織にする。
さまざまな学問を混ぜて、新しい研究領域を開拓する。
大学と地元とを混ぜて、世界からお客さんが集まる地方創生のお手本に。
大学と企業とを混ぜて、優秀な海外の学生を集めるための奨学金を用意し、さらには産学連携を行う。

「象牙の塔」としばしば評される大学は、これまで社会や市場と混ざろうとしませんでした。また日本の大学の場合、世界と混ざるスピードも遅れていました。では、なぜAPUだけが、あらゆる意味で「混ぜる」ことに成功したのか? 本書は1年以上に渡り、関係者100人以上にインタビューを行い、APUの「混ぜる教育」の秘密に迫ります。

時代のキーワード、グローバリゼーションも、ダイバーシティも、「混ぜる」ことです。世界と混ぜる。多様なひとたちと混ぜる。本書は大学案内本ではありません。日本社会や日本企業に欠けている、グローバリゼーションやダイバーシティをどうやったら実現できるのか、APUの成功をケーススタディにして学ぶ「混ぜる教育」の教科書です。

巻末には、早くからAPUの「混ぜる教育」に注目してきた、糸井重里さんの「解説」が! こちらも読み応えたっぷりです。

糸井重里さん(ほぼ日刊イトイ新聞主宰、コピーライター)も絶賛!
APUは、たとえて言うならば、色とりどりの花が「混ざって」咲いている庭です。
花、というのは世界中から集まった学生さんのことです。ここは整備された花壇のような庭じゃない。イギリスの田舎で見かけるワイルドガーデンのような庭です。世界中から集められた植物がひしめき合って混ざり合ってそれぞれが花を咲かせて、ぎりぎりのところでちゃんとすみ分けて、そこにしかない生態系ができあがっている感じです。
APUのキャンパスでは世界中の学生が日本中の学生と混ざっているし、温泉街の別府という街と大学とが混ざっているし、職員と教員が混ざっているし、学生と職員教員も混ざっている。混ざっている力、公私混同的なパワーがあります。ただ、色とりどりの花が混じり合って野性的に咲いているからといって、ほったらかし、というわけじゃない。そこが面白いところだと思います。?APUという「庭」にも、設計して、手入れをする人がいます。職員さんたちであり、教員さんたちです。「一つひとつの花=学生」をこまかく縛って管理して育てるのではなく、APUというワイルドガーデンの設計を周到に行い、ルールを決め、根っこの手入れをして、花を咲かせる。僕がAPUを面白いなあ素敵だなあと思ったのは、この点です。これって「理想のマネジメント」じゃないか、と。