内容紹介
三菱自動車の燃費改ざんはなぜ起きたのか。そして、三菱自動車ではなぜ何度も不正が繰り返されるのか──。
「日経ビジネス」「日経オートモーティブ」「日経トレンディ」など日経BP社の各媒体の総力を集めて燃費不正問題を検証した。
軽自動車4モデルで発覚した不正は、三菱自動車の運命と自動車産業のあり方を大きく揺さぶった。
危機的状況に陥った三菱自動車を、日産自動車が傘下に入れて救済。
スズキでも燃費に関する不正が発覚し、国の制度が見直されるなど「パンドラの箱」を開けた。
不正の原因を探ると、そこには絶望の縁に立たされた開発現場の姿があった。
ダイハツ工業やスズキとの燃費競争に勝とうと、目標は5度も引き上げられた。
現場の「無理だ」との声は経営陣には届かない。
走行試験などを担当する技術者は追いつめられ、不正に手を染めた。
データを改ざんするための専用ソフトウェアまで開発され、不正の手口は代々引き継がれていった。
開発現場だけの問題ではない。三菱自動車はこの20年近く、経営の混乱が続いてきた。
リコール隠しなどの不祥事もあり、株主や経営者が次々に変わった。
技術者や次々に会社を去り、競争力は低下していった。
経営が迷走すれば現場はモチベーションを落とし、それが不正の温床となる。
本書が紹介する三菱自動車の「転落の歴史」は、そうした事実を改めて教えてくれる。
≪主な内容≫
【第1章】 不正のメカニズム
【第2章】 日産、電光石火の救済
【第3章】 迷走と凋落の20年
【第4章】 歴代トップの証言 なぜ変われなかったのか