内容紹介

コスト面の利点などから、海外を拠点とした製造工場は増加を続けている。そんななか、生産性や品質の向上、人材育成、マネジメントと、海外工場の経営者が直面する課題も限りがない。本書ではそんな課題のソリューションや、成果を上げるための工夫を紹介する。
日本の製造業の「ものづくり力」を強化するために、日本能率協会が取り組んできた「GOOD FACTORY賞」。特にアジアワイドの国内外の各地域で、品質や生産性の向上、体質改善などに取り組んできた優良工場を「GOOD FACTORY」として表彰してきた。

<28社の「GOOD FACTORY」の工夫を紹介>
「GOOD FACTORY」として本書で紹介するのは、「味の素 タイ カンペンペット事業所」「NECプラットフォームズ タイ」「ダイキン工業 上海」「デンソー タイ」「東芝キヤリア」「東芝情報機器 杭州社」「東レ インドネシア」「東レ マレーシア」「トヨタ自動車 インド」「「トヨタ自動車 タイ」「トヨタ紡織 広州」「長野オリンパス」「日産自動車タイ」「東風日産乗用車」「日立オートモティブシステムズ 蘇州」「日立金属 タイ」「広州 松下空調器」「無錫 松下冷機」「三菱電機 タイ」「ヤマハ インドネシア」など28社。
製造業の海外進出推進担当者、海外派遣の社員、管理者や、今後海外展開を考えている製造業の会社経営者、コンサルタントに向けて、海外での工場運営の成功のポイントを、多くの事例を紹介しながら分かりやすく解説する。特徴は、工場の成長段階を【創成記】【成長期】【成熟期】の3つに分類し、それぞれの時期に効果的な施策を解説している点だ。
工場立ち上げ時の【創成記】に見られる施策のひとつは「トップの思いを明確にし、ビジョンを掲げる」こと。【成長期】においては明確化された会社の姿、ビジョンを現地の従業員に浸透・共有させる仕掛けをつくり、【成熟期】でそのビジョンを達成するための手順と流れを策定するといった段階を踏んで、工場発展の過程が描かれていく。

<スタッフの育成や指導がポイント>
海外製造工場を運営する経営者が直面する課題のひとつに、海外のスタッフや従業員との関わり方が挙げられる。彼らの育成と指導は生産性や安全管理などに直結するため切実な問題だ。
言語や文化の違う現地スタッフ・従業員に日本流のやり方を理解してもらうための方法や、生産性が向上する仕組みの導入、人材育成の体系づくり、モチベーションを高める評価、査定のほか、課題を早期解決するミーティングの開催、社内行事や福利厚生の施策など、章ごとに様々なテーマの革新活動を取り上げていく。