内容紹介

BtoB企業の現役経営者が明かすマーケティングの真髄

日本のB2B企業は今後、人口減少によって国内市場が先細りになる中、海外市場における新事業の創出は待ったなしの状況である。ただし、日本国内のビジネスモデルの延長線だけで事業を立ち上げるのは容易ではない。すでに多くの海外企業が、先進的なビジネスを新興国などで展開しているためだ。従って、現地の状況を深く理解し、新しい切り口や立ち位置を構想しなければならない。
本書の目的は、これから国内外で新事業の立ち上げを経験するであろう日本の企業人や既に新事業を立ち上げ中の経営幹部が、筆者の新事業立ち上げの経験や知識を共有することで、事業立ち上げの実際を仮想体験してもらい、1日でも早い事業の成功に寄与することにある。

筆者は、三菱商事鋼管部在籍中に米国カリフォルニア州メンロパーク市で、半導体を製造する装置に関連する新事業を立ち上げるべくUltra Clean Technology Systems & Service Incを設立し、President & CEOとして1991年から約8年の駐在を経験した。日本で用意周到に事業計画を立案し、夢と希望に心弾ませて駐在したものの、その立ち上げには悪戦苦闘した。既に30年近く前の経験ではあるが、今日でも日本企業の海外における新事業展開でも陳腐化していないと感じる多くの貴重な体験をした。

そこで、第1部では、設立した新会社の操業を開始した1992年から、顧客の獲得によって単年度黒字化した96年までの間の経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報にかかる経験や事業立ち上げに不可欠だったシリコンバレー流のマーケティング活動内容とその成果を示す。第2部では、2019年の今、筆者が海外でCEOとして新事業を創出するならば何を検討し、どのような順序で立ち上げるかというプロセスを示す。第3部では、今後、CEOが直面すると予想される、高度情報社会下のビジネスの特徴と新事業の経営を牽引するCEOに必要な突破力について考察する。

■目次
はじめに

第1部米国で新事業を立ち上げた1500日間
 第1章 ヒト・モノ・カネの確保に奔走
 第2章 マーケティングが経営のすべて
 第3章 技術マーケティングで勝利

第2部今、海外で新事業を立ち上げるなら
 第1章 B2B企業による新事業創出の着眼点
 第2章 経営チームに不可欠な3つの力
 第3章 社員総マーケター化で「顧客の創造」

第3部海外新事業の成功に必要な力
 第1章 変化を感じ、手を打ち続ける
 第2章 見えざる敵に勝つ
 第3章 CEOに求められる力量

おわりに

参考文献