内容紹介
世界を戦慄させる中国発の技術革新の大波BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)
半導体、電池、AI、ドローン・・・
モノづくりのロードマップ「中国製造2025」
激化する米中対立の行方は
豊富な現地取材とデータで「紅い技術大国」を徹底解剖
中国発の技術革新「チャイノベーション」が世界を震撼させている。
米トランプ大統領は、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のスパイ行為を疑い、
同盟国の企業に同社製品を調達しないように働きかけている。
世界トップ水準と目されるほど力を付けたファーウェイの技術力を恐れているからだ。
「BAT」と呼ばれるインターネット検索の百度(バイドゥ)、
ネット通販のアリババ集団、ネットサービスの騰訊控股(テンセント)のIT3巨人は、
米国のGAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)に迫る株式時価総額に到達。
AI(人工知能)を含むソフトウエアの技術力は、世界をリードするようになっている。
半導体、ディスプレー、電池、ドローンなどのハードウエアでも中国企業の台頭は著しい。
日本のお家芸ともいえる「モノづくり」でも脅威になっている。
製造業強化のロードマップ「中国製造2025」を旗印に、すでに力をつけたITに加えて、
工作機械やロボット、素材などのモノづくりの基盤を強化。
イノベーションの熱源ともいえる中国の深セン市には、
技術革新を生む強大なエコシステム(生態系)ができあがっている。
本書では中国での豊富な現地取材をベースに、
注目を集める新興テクノロジー企業の素顔と国家戦略に迫る。
バイドゥ、アリババ、テンセントに、ファーウェイを加えた
「BATH」とも呼ばれる4社を豊富なデータも使って詳細に分析。
さらに動画投稿アプリの「TikTok」や、配車サービス大手の「滴滴出行(ディディ)」、
世界初のディスプレーを折りためるスマートフォンを発売した「ロヨル」などのスタートアップも紹介する。
激化する米中対立の現状と今後については、両国を代表する多数の専門家をインタビュー。
日本の進むべき道も探る。世界を戦慄させるチャイノベーションの実像に迫る。
≪目次≫
第1章 トランプが恐れる中国の技術進化
PART 1 激しさ増す米国の対中強硬姿勢 タブーなき技術革新の衝撃
PART 2 最新テックの発信地に 増殖する「独角獣」
PART 3 既に日本超えの分野も 半導体、ディスプレー、車載電池などを徹底分析
PART 4 政府・企業・消費者の生態系 チャイノベーションはこう生まれる
【コラム】深センで垣間見た「チャイノベーション」の熱源 失敗を恐れぬ中国の起業家たち
【コラム】深センに行って学ぶ人、学ばない人 日本人にありがちな2つのポイント
【コラム】技術移転に中国「海亀族」の影 米中対立の根は深い
第2章 敵か味方か BAT
PART 1 あなたの周りにも 配車、決済、ゲーム・・・日本も「IT中華圏」に
データで見るBAT① 日本企業とも深い関係 様々なテック企業を傘下に
PART 2 中国、「次のBAT」を計画生産 国家資本主義2.0 デジタルチャイナ最前線
データで見るBAT② 巨大な市場追い風にGAFA追う
PART 3 中国脅威論の先へ 日本企業は見極める眼力を 膨張する「デジタル一帯一路」
【コラム】中国発デジタル改革の旗手 習主席肝いり 中国ハイテク都市「雄安新区」の実力は
【コラム】ヤフーやLINE、スマホ決済「ばらまき」の原点はBAT
第3章 ファーウェイ 最強経営の真実
PART 1 30年で売上高1000億ドル ファーウェイ、驚異の実力
PART 2 米国の圧力でも拡大続く “ファーウェイ5G生態系”
PART 3 ファーウェイ創業者の任正非氏、貧困から「中国代表」へ
PART 4 「輪番会長」「非上場」 ファーウェイ、異形の経営システム
第4章 激突する米中 日本はどうする?
PART 1 勢いを増す強硬派 対中国「存亡をかけた戦い」は米国を衰退させるか
PART 2 識者に聞く米中の行方
ケネス・ロゴフ氏 中国で金融危機起きる可能性も
フレッド・バーグステン氏 日本のリーダーシップに期待
ジェームズ・カラファノ氏 現時点で中国は脅威ではない
ジェフリー・ライト氏 中国は新技術領域で既に先行
PART 3 米中は「トゥキディデスの罠」を回避できるのか 覇権国に挑む新興国、軍事衝突も
おわりに 「技術が善意から出発することを望む」