内容紹介
自動車メーカー、マツダの革新をデザインで引っ張ってきた人物、前田育男に問う。伝統と革新、不易と流行、マスとニッチ、合理と無駄、光と影…。その相克の果てに見る夢とは。そして、その光景を胸に彼はマツダをどこに連れて行こうというのか。
「RX-8」や3代目「デミオ」といった名車のデザインを手がけ、2009年にデザイン部門のトップに立つや、デザインプロセスを大胆に変革、「魂動」コンセプトの下、生命感あふれるデザインの車を生み出してきた前田。現在は常務執行役員デザイン・ブランドスタイル担当を務め、マツダを「豊かな」ブランドにするべく疾走を続けている。その前田は言う。ここまでは来た。ただ道は遙かに遠く、葛藤はこれからも続くと。
本書は、その答えを探る談論の記録である。
目次
【第1章】 たまらぬものなり
【第2章】 「攻め」と「自己抑制」
【第3章】 80年代に私たちが失ったもの
【第4章】 ときには、心が折れることもある(ゲスト:京焼窯元 真葛 六代宮川香齋氏、宮川真一氏)
【第5章】 ロータリーエンジンと日本刀(ゲスト:刀工 高見國一氏)
【第6章】 「やっぱり言い訳は、あかんと思います」(ゲスト:古美術商 てっさい堂 貴道俊行氏、貴道裕子氏)
【第7章】 で、マツダはこの先どこに行く?(ゲスト:武蔵野美術大学 学長 長澤忠徳氏)
【第8章】 100点満点では人の心は動かせない(ゲスト:漆芸家 七代金城一国斎氏)
【第9章】 ちょっとアレはないわ
【付 論】 70年前の「相克」~インダストリアル・デザイナー小杉二郎氏が手がけたクルマの仕事~