内容紹介

日本を代表する美人女優で75歳の今も舞台で主役を張る。過去について多くを語ることのなかったミューズが著した初の自伝!

おすすめポイント

戦後の名女優となると、田中絹代、高峰秀子、原節子……しかし、若者の風俗にまで多大な影響を与えたアイドルであり大スターとなると、やはり浅丘ルリ子、だろう。日活映画で小林旭、石原裕次郎の相手役ヒロインとして一世を風靡し、その後は国民映画・寅さんのマドンナとして人気を集め、蜷川幸雄演出の舞台で激しく生きた女を演じきる。中学時代にデビューし、華麗な男性遍歴も含め実生活でも「女優」を生きてきた浅丘さんには、自らの意志でその生い立ちからプライベートを綴った著書はこれまでない。

本書の元となった新聞連載では、ストーリーをつくることなく、巡り会った人たちとの思い出を読み切りスタイルにし、断片を断片として編んでいったことで、「女優を生きる」浅丘さんにとっては自らの半生を「演じる」ことに成功した。家族、中原淳一、蔵原惟繕、美空ひばり、赤木圭一郎、勝新太郎、加山雄三、山本薩夫、石坂浩二、森光子、鶴橋康夫、倉本聰、蜷川幸雄、市川崑、高倉健、大原麗子、菅野美穂・堺雅人、松山ケンイチ……断片的には過去のインタビューで語られていたことも、そのときの思いまで言葉にすることで、連載中にたびたび週刊誌が記事にした。スキャンダラスな告白も飛び出したが、その爽やかとも言える言葉は大物女優の存在感をあらためて示すものとなった。

それに加えて本書では、女優・浅丘ルリ子の素顔を3人の男たちが語るロングインタビューと対談を収録。対するのは、寅さんのマドンナ「リリー」の生みの親の山田洋次監督、日活時代の弟分・高橋英樹氏、舞台女優となっての盟友・近藤正臣氏。男たちに自らの魅力を語る言葉を引き出す話術は読み応えたっぷり。いや話術というよりも、あの大きな瞳で見つめられたら……読んでますますミステリアスな異色の自伝である。