内容紹介
異常事態だった殉死、江戸時代は無名だった『葉隠』、孫子を嫌った新井白石―。捏造、歪曲されてきた武士道の知られざる軌跡を追う。おすすめポイント
異常事態だった殉死、江戸時代は無名だった『葉隠』、孫子を嫌った新井白石―。捏造、歪曲されてきた武士道の知られざる軌跡を追う。「武士道は日本人の魂」といわれることが多いが、まったくの間違い。時の権力に利用されてきたのが真実だ。
例えば、武士道の代表的書とされる『葉隠』が世に広まったのは太平洋戦争直前、「忠臣蔵」はサラリーマン化した武士への庶民の面当て、卑怯な考えとして『孫子』を忌避した新井白石、殉死は江戸時代初期の異常現象--。
新渡戸稲造の著作が話題になり「日本人の魂」とされることが多い武士道だが、その成り立ちは武士階級の支配の法であり、一般庶民に定着することはほとんどなく、江戸時代においてもサラリーマン化した武士の正しい生き方を示す「士道」に取って代わられたのが実態だった。
太平記、甲陽軍鑑といった古典から三島由紀夫まで、武士道がいかに歪曲・誤解されてきたのかを様々なエピソードを交えて解説する。『武士道』『葉隠』関連書籍はほとんどが入門書・読み解き本。本書のような目からうろこが落ちるアプローチの類書はない。山本七平や司馬遼太郎の日本人論に関心を持つ読者にとっては思いもよらぬ事実が満載の本。