内容紹介

借金と飢饉で日本一の貧乏藩といわれた米沢藩を、一生懸けて立て直した上杉鷹山。そのリーダーシップの全貌を明快に解き明かした書。

おすすめポイント

●2012年2月に刊行された『「生涯改革者」上杉鷹山の教え』に加筆、改題して文庫化。

●上杉鷹山(1751~1822)は、謙信を祖とする名門ながら度重なる減封で、日本一の貧乏藩となった米沢藩に、九州の高鍋藩秋月家から養子に入り、17歳で藩主となって以後、72歳で亡くなるまで、生涯を藩政改革に捧げた人物である。戦前の修身の教科書に大きく取り上げられ、戦後もJ.F.ケネディが「日本で一番尊敬する政治家」といったという逸話もある。2007年に読売新聞が行った全国の自治体首長アンケートでは、理想のリーダーとして断トツの第1位となった。

●鷹山の米沢藩改革は、1767年に始まる。徐々に成果を上げつつあったが、途中で「天明の大飢饉」があって半ば挫折し、鷹山は35歳で隠居した。だが、次代藩主の施策が失敗し、再び鷹山が改革をリードすることになる。「寛三(寛政三年)の改革」と呼ばれるこの後半の改革が実を結ぶのだが、1791年に開始された財政再建16年計画は、実に33年かかって完遂された。鷹山の改革は50年以上も続いたのである。

●著者は、経営コンサルタントという仕事の中で鷹山に惹かれていき、40年以上研究を続けてきた。著者によれば、鷹山は人びとへのやさしさと思いやりに基づいた「動機づけ」の天才であり、それがリーダーシップの根底にあるという。

●本書は、鷹山の50年以上にわたる改革を丁寧に跡づけ、類いまれなるリーダーシップを、現代の企業の現場でも生かせる手法としてわかりやすく提示している。