内容紹介
激しい議論を巻き起こしている日銀のマイナス金利政策。その功罪は? 第一級の研究者、政策担当者らが効果と問題点を徹底議論。おすすめポイント
異次元緩和の是非、功罪、展望量的・質的緩和からヘリコプターマネーまで
日本銀行幹部、日銀OB、日本を代表する経済学者、エコノミストら15人の識者が日銀による実験的政策を徹底的に論じます。
これほど激しい論争を引き起こした金融政策が過去にあっただろうか。金融政策当局は未踏の領域への実験と語り、批判的なエコノミストは危険な賭けであると分析する。
日本銀行は2013年春に「デフレからの脱却」の旗を掲げ、黒田新総裁体制のもとで量的・質的緩和(QQE)を核とする異次元金融緩和政策を開始した。2016年1月には日銀の当座預金の一部にマイナス金利を適用するマイナス金利政策に踏み切った。続いて長期金利をもコントロールする新たな挑戦に踏み出した。しかし、残念ながら安定的な揺るぎない効果が生まれているとはとてもいえない。一連の試みをどう判定すべきだろうか。
本書では、日本銀行の幹部をはじめ、日銀OBや日本を代表する経済学者、エコノミストら15人の識者が、マイナス金利政策の是非を中心に金融政策をめぐって熱い議論を繰り広げる。議論は、1)異次元緩和政策・マイナス金利政策の成否、2)インフレ期待の引き上げに関する政策の論理の一貫性、3)財政危機と隣り合わせの「出口問題」、4)マイナス金利政策特有の直接的な政策コスト・副作用の問題、5)国債購入、マイナス金利深掘りなど金融政策技術上の限界、6)異次元金融緩和政策の代替案、そして、マイナス金利政策以上に過激とみられるヘリコプターマネー政策へと及ぶ。
本書全体を通して浮かび上がるのは、試行錯誤を続けながら苦闘する日本銀行の姿と、それに対するさまざまな批判や不安、警戒の声である。議論の前提となる経済モデルの考え方や経済政策をめぐる本源的な問いかけ、金融政策の役割と限界をめぐる本質的な議論が縦横に展開される本書は、政策担当者、エコノミスト、マーケット関係者はじめ、日本経済の行方に関心のあるすべての人にとっての必読書。