内容紹介
名門・山一證券破綻の根底には組織風土の病があった。経営企画室に勤務した社員が顛末をたどり、日本企業に共通する「失敗の本質」を抉る。おすすめポイント
本書は1998年刊行の『決断なき経営--山一はなぜ変われなかったのか』の改題、増補文庫化です。○山一證券は、2千数百億円の含み損をペーパーカンパニーに飛ばしていることが発覚、資金繰りに窮する中で自主廃業に追い込まれました。
しかし、債務超過ではなく、外部から資金を調達できれば存続の道もありました。
それがかなわなくなったのは、ひとえに「問題先送り体質」、すなわち「決断なき経営」にありました。
○本書は「摩擦を避ける」「空っぽの経営中枢」「見たくないものは見ない」「小さい情報のアンテナ」「権限・責任の曖昧さ」など、日本的組織に共通する「失敗の本質」を、山一社内のエピソードを紹介しながら描いていきます。
○シャープや東芝をはじめ、経営危機に陥った日本企業の事例を見ていると、問題が生じていることは分かっているのに、現実をあえて見ない
→対応を先送りし、傷がますます拡大→窮地に追いやられ、最悪の結果になる、というコースをたどっています。
日本型組織病ともいえる本書の指摘はまったく古びていません。
○自主廃業から20年がたった今、山一破綻をどう見るか、山一を辞めたあと、どのような経緯でソニー銀行を立ち上げたのか、経営の要諦とは、などを中心に加筆しています。