内容紹介

望まぬ戦もせねばならぬ。お家の分裂を防ぎ、領土と民を守るため。 乱世を「武に生きる」男たちが命を賭して貫き通したものとは?

おすすめポイント

「新人離れしたデビュー作」と各紙誌が絶賛した『大友二階崩れ』のその後を描いた新作が早くも登場。「泣く英雄」を描いた前作に対し、「武に生きる」男たちがやはり「義」をめぐり繰り広げる熱き物語。大友義鎮(のちの大友宗麟)が当主となった「二階崩れの変」の6年後、強大化した大友家に再び熾烈なお家騒動が出来。通称「小原鑑元の乱」を重臣たちを通して描く。
物語を引っ張るのは『大友二階崩れ』の主人公の長男。当主・義鎮が「政」より美と女を重んじた結果、「二階崩れの変」を平定した重臣たちと当主との間に権力の二重構造ができあがり、政変が勃発する。

前作で描かれたのは「義と愛」だったが、今作はもうひとまわりスケールが大きく、一寸先は闇の乱世における「義と利」「情と理」のせめぎあいがダイナミックに描かれる。一貫して流れているのは戦国の世とは言え、誰も戦を望んでいないこと。やむなく戦に臨まねばならなくなった時、どこで人としての筋を通さねばならないか、を各人各様に考え抜いている姿が描かれ、現代にも通じる普遍的なテーマが隠されている。今年2月に刊行、「新人にして既に大家の風格」(文芸評論家・縄田一男氏)などと、各方面で注目された歴史小説『大友二階崩れ』。九州・豊後の戦国大名家のお家騒動を描き、第9回日経小説大賞を受賞した赤神諒氏のデビュー作ですが、そのシリーズ第2弾が早くも登場します。

『大友二階崩れ』の政変から5年後、当主・大友義鎮(後の大友宗麟)の近習が企てた陰謀から物語の幕を開けます。政治よりも美と女を重んじる当主に代わって、ひとりの重臣が内政において絶大な権力を握ったことで、家中に渦巻く謀略、裏切り、寝返り……ついに内戦勃発の危機を迎えるまでを、登場人物たちの心理を克明に追っていくことで、エキサイティングに描きます。

いったい、何の、誰のための戦なのか。主家と無辜の民と土地を守るため、『大友二階崩れ』で登場した魅力的な武将たちが、戦場で下した究極の決断とは……。

政治の駆け引きにおける心理描写などはきわめて現代的。欧州の史劇などもほうふつとさせ、いわゆる時代・歴史小説が苦手な人にもオススメです。