内容紹介

人一倍遊び、人一倍野球に取り組み、常に真剣勝負。”最強の敵役”としてライバル球団ファンをも魅了した伝説の左腕の苛烈な生き様

おすすめポイント

人一倍遊び、人一倍野球に取り組み、常に逃げずに真っ向真剣勝負。
プロ野球黄金時代、"最強の敵役"としてライバル球団ファンをも魅了した伝説の左腕の苛烈な生き様。

中学では「やんちゃな少年同士の決闘が日常茶飯事」で、高校からは「弱い球団で巨人など強い者を倒すことを生きがい」にし、「三振か四球か」ノーコンでカーブもほうれぬままドラフト1位で阪神入団。契約金は「800万円の札束を見てみたかった」と一括現金でもらい、プロに入ると「勝っては繁華街に繰り出し、毎晩お祭り騒ぎ」「もらったらもらった分使って、人よりいいものを食べ、いい服を着て、いい女性と付き合う。これぞプロ野球選手ではないか」。奪三振記録は「取るなら王(貞治)さんしかない」と実行し、甲子園伝統の一戦、巨人・阪神戦では逃げずに真っ向勝負。縦ジマのエースは"最強の敵役"として巨人ファンをも魅了した。南海移籍後は、野村克也監督に「野球界にいっぺん、革命を起こしてみろよ」と言われ、意気に感じてストッパーに転向、これが広島移籍後にあの「江夏の21球」につながったのか。日本ハム移籍後は、複雑な家庭環境で育ったがゆえに大沢啓二監督に「父」を見て奮闘。最後は大リーグに挑戦し引退。個性派が影を潜め、選手が平均的になってしまった現在の管理野球に苛立ちながら、今も野球解説の現場に立つ――野球のロマンを追い求め、独得の美学をつらぬき通す男の履歴書。 「三振にこだわり、常在戦場」「小細工なし、真っ向勝負」――
この本の帯のキャッチフレーズです。

“伝説の左腕(サウスポー)”と呼ばれる名投手は数多くいますが、
なぜ、江夏豊さんが今も多くの人たちの記憶に残り、
語り継がれているのか。
本書にはその秘密が隠されているといっても過言ではありません。

長嶋・王を擁した黄金時代の巨人と死闘を繰り広げた
阪神のエース時代、今では常勝軍団となった広島を初の
日本一に導いた「江夏の21球」、
オールスターでの9人連続奪三振……
数々の名場面での江夏さんの胸のうちが明かされ、
読む者の心をわしづかみにします。

本書に一貫して流れているのは、プロ野球人としての美学、
好敵手たちへの敬意、勝負に対する厳しさ、そして、時おり顔
をのぞかせる人としてのやさしさ、でしょうか。

それは盟友・衣笠祥雄さんの急逝を受けて、
本書のために書き下ろされた長いあとがきに凝縮されています。