内容紹介

困難を乗り越え、勝ち続ける者には、必ず人を惹きつけて離さない人間的魅力がある。カンブリア宮殿、500人を超える経営者との対話の中で、作家が感じ取ったリーダーの資質とは何か? エッセイ的「社長論」。

おすすめポイント

平成の名経営者、勢揃い! 勝ち続ける会社は「社長」が違う!
「カンブリア宮殿」のゲスト500人との対話から、作家・村上龍が抽出した成功するリーダーの資質とは?

◆12年目を迎えるテレビ東京の人気番組「カンブリア宮殿」。番組の最後に流れるのは、インタビュアー村上龍がゲストを評した「村上龍の編集後記」。逆境を乗り越え、成功を掴んだ人々の魅力に、村上龍自らの言葉で迫る人気コラムだ。本書は、その中から160人を選び、生年順にまとめたもの。

◆本書から
「なぜ、それをやらないのか?」(アマゾンCEO ジェフ・ベゾス)
アマゾンの軌跡を辿ると、アメリカにはいまだ確固たるフロンティアが残っていると思わざるを得ない。インターネットの電子空間とリアルな物流を組み合わせる事でベゾス氏はたった4人によるガレージでの創業から、20年足らずでまさに複雑に生命が入り組んだ熱帯雨林のような巨大な「経済圏」を作り上げた。「何故そんなことをやるのか」よりも「何故やらないのか」と言う問いの方に正当性があるとベゾス氏は考えている。徹底して顧客の側に立ち生産者と消費者を限りなく近づけると言うアマゾンの基本戦略から学ぶべき事は多い。

「精密で、強靱なバネのような」(東海バネ工業社長 渡辺 良機)
「経営には奇策も裏技もない、社員のモチベーションを10%上げたら業績は上がり、逆に10%下げたらすぐに会社は傾く」 渡辺さんの言葉は厳しい。じゃあどうやってモチベーションを上げるのか? 答は、「寝ずに考えろ」だった。他企業の真似をせずに自らの強みと弱みを知る、実はこれほどむずかしいことはない。だが、そのむずかしいことに挑戦しない限り、生き残れない。精密で、強靱で、かつ弾力性がある、まるで精巧なバネのような、渡辺さんの経営哲学である。

「夢は見ない、作り出す」(ユー・エス・ジェイ執行役員 森岡 毅)
テーマパークに限らず、それまで有効だった自社のコンセプトが陳腐化していることを認めるのは簡単ではない。過去に大成功を収めた時期があればさらにむずかしい。大企業病は、どんな企業にもごく自然に訪れる。「売れる必然を作り出す」森岡さんはそう言う。偶然も、希望的観測も、期待も、成功には寄与しない。アイデアは、湧き出るものではなく、大自然や宇宙のように最初からそこにあり、わたしたちはひたすら考え続けることで、ふいに出会う。他者に夢を与えるためには、自分は徹底して覚めていなければならない。 カンブリア宮殿の「編集後記」をまとめて本にしたい――。
番組のメインインタビューアー、村上龍さんからメール
があったのは、1年ほど前だった。

「編集後記」とは、番組の最後に流れるもので、
村上さんがその日のゲスト(名経営者やリーダーたち)
を自ら評した、短めのエッセイである。
当初は、日経プレミアシリーズの新書で気軽に読める物に
と考えていたが、村上さんから提案があった書名は、
「収録を終えて、こんなことを考えた」。

また本文のレイアウトも、村上さんの手書きの見出しを
組み込むなど、新書サイズでは表現しにくくなり、
それなら思い切って単行本にと方向転換することになった。
本書には、160人のリーダーについて書かれたエッセイが
収録されているが、並べ方についても村上さんから
「内容ごとに分けた章立てよりも生年順にした方が面白いのでは」
というアイデアが。実際に並べてみると、この経営者と
あの経営者は実は同い年だったのか、といった驚きや、
同じビジネス環境を生きてきた者同士の共通点などが
感じられるようになった。

村上さんから溢れるアイデアを、次から次へと形にして
いったのが装幀家の新井大輔さん。カバーから本文の文字色まで、
全体を群青色に統一したデザインは、
村上さんからも「すばらしい!」と1発OKだった。

「成功したリーダーには、その人の内面から滲み出る
『コア』のようなものがある」。
すさまじい危機を何度も乗り越え、命を削るようにして、
起業したり、会社を再建した人が、番組中に見せる「いい笑顔」。
その笑顔が生まれた背景には何があったのか。
12年間のべ600人のゲストとの対話から、作家が掬い取った、
リーダーの人間的魅力がこの本には詰まっている。