内容紹介
FT紙の著名コラムニストが「粉ミルク」「電池」「有刺鉄線」といったちょっと意外な「50のモノ」を軸に現代経済をやさしく解説。おすすめポイント
◆避妊用ピルと法学部の女子学生の間の意外な関係性◆室温28度のオフィスは、生産性が低い
◆パスポートがなければ、世界経済はもっと豊かに発展する
◆犂(すき)の発明のせいで、人間の身長は15センチ低い
◆バーコードの誕生が、シャッター商店街を増やした
◆蓄音機が貧富の格差を拡大させた
◆輸送用コンテナの発明が、日本の高度経済成長を後押しした
◆市民社会と私有財産制は、有刺鉄線が生み出した
◆もうひとつの発明がなければ、グーテンベルグの印刷機はゴミだった
新しいアイデアの誕生は、私たちの生活に予期せぬ影響をおよぼします。
経済の力関係のみならず、男と女の関係性も変わり、新しい勝ち組と負け組が生まれます。
FT紙の著名コラムニストが「粉ミルク」「電池」「カミソリ」といった身近なモノから、「S字トラップ」といったちょっと意外なモノまで、「50」のモノを軸に現代経済を解説します。人類の歴史を振り返ると、新しいアイデアや新しい技術の誕生、イノベーションは常に思わぬ副作用をもたらしてきました。経済の力関係のみならず、男女の関係性も変え、社会の中に勝者と敗者を生み出してきました。
たとえば、犂(すき)の発明によって、私たちは余剰食料を生産できるようになり、みんなが食料を探し求める生活から解放されました。1人の働きで何人もの食料が確保できるようになると、階級社会が生まれ、宗教家や政治家、軍隊といった支配者も生まれました。犂は、ただ単に農業にとって便利だっただけでなく、現代社会そのものの誕生に大きく貢献した道具だったのです。
このように、ある発明は、その発明のもつ直接的な効果以上の副作用を周囲にもたらします。いま多くの人は、AIが自分の仕事を奪うのではないかと心配しています。ところが、仕事を奪うのはAIのような直接的な脅威に限りません。小さな商店が廃業に追い込まれ、世界的なスーパーマーケット・チェーンに駆逐された遠因には、「バーコード」による物流革命がありました。また「蓄音機」の発明によって、トップアーティストだけが儲かり、その他大勢の歌手たちの生活は惨めなものに変わってしまいました。
本書は「有刺鉄線」「パスポート」「育児用粉ミルク」「ビデオゲーム」「空調」といった、普段は現代社会にとっての「重要発明」と思われていない「意外な50のモノ」を取り上げ、「現代社会とイノベーションのあり方」をフィナンシャル・タイムズ(FT)紙の人気コラムニストが考える、楽しい経済読み物です。