内容紹介
人手不足の現場から最新技術まで、物流のホットイシューがわかる。おすすめポイント
■ヤマト運輸での労働問題発覚以降、「物流危機」はホットトピックになっている。実際、トラックドライバーの高齢化や倉庫作業員の不足は顕著であり、「経済の血脈」である物流がいつ止まってもおかしくない状況にある。一方で、宅配ロボットやドローンといった先進技術の活用も徐々に広がりつつある。Amazonのように、倉庫作業のロボティクス化やAIによる需要予測といった先駆的な取り組みを進めることで、競争力の更なる向上を実現している企業も存在する。
■これら、足元での労働環境の悪化やAmazonをはじめとする先進プレイヤーの動向といったミクロな事実を紹介する書籍や記事は増えてきたが、「物流の未来」がどのようなものであるかや、経営・経済においてどのような役割を果たすようになるのかまでを見通したものはない。
本書は、ロジスティクスの最先端動向に精通し、コンサルティング、セミナーなどで活躍する著者が、技術革新の先にある物流ビジネスの「破壊と創造」を解説するものである。省人化・標準化が進むことで、サプライチェーン全体の最適化に向けたオープンプラットフォームが生まれつつあること、コト売りへの転換を果たそうとするメーカーがシェアリングビジネスに進出していることなど、技術・インフラ・サービスの進化の方向性を明らかにしている。物流会社だけではなく、荷主やメーカーにとってのビジネスチャンスも見つけられる内容である。
■「ロジスティクス4.0」は、著者が講演やコンサルティングなどで使ってきた用語だが、その用語や考え方がそのまま「国土交通白書」や「ものづくり白書」で用いられるなど、一般用語化している。ロジスティクスとは「兵站(へいたん)」の意味で、もともとは軍事活動において、必要な物資を必要な場所に補給・輸送することです。その言葉が19世紀後半に、経済活動についても使われるようになりました。
モノが必要なときに、必要なところに届く――この日本人にとって当たり前に思えたことの基盤が、いま揺らいでいます。ネット通販の隆盛により、物流量自体が増えたこと、そして、日本の労働力減少により、その人手が追いつかなくなっているのです。
ただ、確実な解決策はあります。テクノロジーの活用です。折しも、IoT、AI、ロボティクスの発達により、人手を極力廃し、自動化する仕組みを整えることができるようになりました。
答えは従来の延長線上にはありません。グーグル、アップルのような大手IT企業が、物流業界に手を伸ばしてくる可能性もあります。物流の世界でも、かつてのIT革命に匹敵する変化が生じようとしているのです。
「モノが届かなくなる」ことがあったら大問題。個人個人が注視すべき事象といえるでしょう。