内容紹介

スターリン、チャーチル、ホー・チ・ミン――。勝利をもたらすリーダーに共通する、知を共有し人々を動かす知略のメカニズムを解明。

おすすめポイント

●本質シリーズの最終巻
圧倒的に不利な条件から勝利を導き出した独ソ戦のスターリン、英独戦のチャーチル、ベトナム戦争のホー・チ・ミン、対イラク戦圧勝もつかの間、非正規戦という泥沼の打破を迫られた米国――。

本書は、日本陸軍の敗北のメカニズムを組織論の切り口から解明した『失敗の本質』(中公文庫)、海外の戦史を題材に成功の本質を解明した『戦略の本質』、国家指導者に焦点を当てた『国家経営の本質』につづく本質シリーズの最終巻。勝利を実現するメカニズムの解明は、『失敗の本質』とは裏表の関係となります。また『戦略の本質』は逆転を生み出した要因を現場の指揮官レベルで解明しましたが、本書は国家の指導者レベルとリンクさせて、機動戦と消耗戦を臨機応変に使い分ける知略こそが勝利を生み出したというストーリーで解説します。

知略とは、「知略=知的機動力」で賢く戦う哲学であり、過去-現在-未来の時間軸で、組織メンバーの共感を得、一丸とさせる共通善のために「何を守り、何を変革するか」の動的平衡を追い求めながら、行動し続ける戦い方を指す。これを実現できたリーダーが、本書で取り上げる、スターリン、チャーチル、ホー・チ・ミンです。『知略の本質』は1984年に刊行され日本軍の失敗を組織論的に解明した名著『失敗の本質』(ダイヤモンド社、中公文庫)のシリーズ最終巻です。実は、『失敗の本質』の続編『戦略の本質』が刊行されるまで約20年の休眠期間があったのですが、『知略の本質』の場合、刊行まで4年近くかかっています。

毎月土曜か日曜日に研究会を行い、コンセプトのすり合わせ、執筆スタイルの確認を行い、より読者が興味を引く内容になるように推敲が行われました。またすべての戦史の原稿がそろったところで、本書全体でどのようなメッセージが出せるかを筆者の代表の野中氏が様々なアイデアを収斂させていく作業が待っていました。その成果が終章(知略に向かって)で示されています。戦史のパートも面白いのですが、人文科学、社会科学の最新の成果を踏まえた最終章もお楽しみ下さい。

(2019.11.5)