内容紹介

未来を知るために歴史に学ぶ――。東京大空襲からアベノミクスまで。自らの体験をまじえて語るライブ感満載の日本経済の歩み。

おすすめポイント

●「1940年体制史観」を打ち出したことでも知られる野口悠紀雄氏が、2015年6月に東洋経済新報社より刊行した『戦後経済史』を文庫化したものです。

●本書では、1940年生まれの著者自身が経験した東京大空襲の際の地下防空壕への避難の場面から始まり、リーマンショック後までの70年にわたる日本経済の移り変わりが、さまざまな事件や出来事、そして著者自身のパーソナル・ヒストリーを通じて、絵物語のように展開されます。登場人物も大物官僚はじめ、ビートルズ、三島由紀夫、吉田茂、田中角栄、三重野康等々とカラフルで、歴史読み物として楽しめる内容になっています。

●本書の特色は、「われわれはいま、どこにいるのか」を明らかにすることをねらいに書かれていることです。何が起こったのかを順序立てて記述する一般的な歴史書とは異なります。現代に大きな影響を及ぼした事件、事象を中心に、その事実、背景を読み解くというユニークなスタイルをとっています。そのために著者が重視した視点が二つあります。

●一つは、「地上の視点」=「犬の目」を通して見ることで、「犬の目」となった著者の体験を通じて、読者は、物語として、日本の経済の変化を面白く読めるようになっています。もう一つが「空からの視点」=「鳥の目」である「1940年体制史観」を通して日本の社会と経済の変遷をとらえることです。そこからは、著者の国家への不信感、さまざまな出来事を通じての違和感が浮かび上がってきます。

●「1940年体制史観」とは、戦時期に成立した国家総動員体制が戦後にも引き継がれ、高度成長をもたらしたとする著者独自の見立てで、日本経済の見方に大きな衝撃を与えたものです。著者によれば、この国家主導の体制で石油危機も乗り切ったが、その後もはやその体制が必要でなくなったにもかかわらず維持されたことでバブル経済が生じたのであり、安倍内閣の政策(アベノミクス)は「戦後レジームへの回帰」だと位置づけられます。

●このような著者独自の視点は、平成時代が終わって昭和時代が遠景に退き、グローバルな視点から戦後日本が客観的に評価されるようになる今後も注目され続けることになるでしょう。本書は、1940年生まれの著者が、東京大空襲からアベノミクスに至るまでの戦後70年の日本社会の移り変わりを、著者自身の体験を交えて語った歴史読み物です。いま、同じ著者の『平成はなぜ失敗したのか』が話題になっていますが、それに続く姉妹編でもあります。

本書では、4歳の時に経験した東京大空襲に始まり、GHQの占領期、東京オリンピック、高度成長、工業化から石油ショックを経てバブル崩壊、世界金融危機に至る昭和から平成までの時代の変遷と出来事について、著者自身のパーソナル・ヒストリーを通じて絵物語のように語られ、著者ならではの鋭い批評と観察が随所に記されています。

本書の特色は、「われわれはいま、どこにいるのか」を明らかにすることをねらいに書かれていることです。何が起こったのかを順序立てて記述する一般的な歴史書とは異なります。戦時期に成立した国家総動員体制が戦後にも引き継がれ、高度成長をもたらしたとする著者独自の「1940年体制史観」を通して日本の社会と経済の変遷をとらえています。

平成が終わり、新たな元号のもとで、昭和時代はさらに遠景に退くことになりますが、「平成のその先の日本」を考えるうえで、ぜひ読んでいただきたい本です。