内容紹介
バブルの絶頂からどん底へ――平成は日本企業にとって試練の30年だった。ソニーとパナソニックを軸に描く、経営者たちの苦悩と変質。おすすめポイント
第一線での企業取材を続けてきたジャーナリストが、平成が終わり新しい時代を迎えるタイミングで、この30年間を中心に、ソニーとパナソニックという経営のカリスマが起こした日本を代表する2社を中心に取り上げ、経営トップ、関係者、周辺まで綿密な取材をもとにそれぞれの企業で起こったストーリーを追跡。企業盛衰の分岐点を探っていきます。絶頂からどん底へ、そして復調?
平成の30年間に経営者たちは何を破壊し、何を創造したのか?
平成の時代(1989~2019年)は、日本企業にとって「試練の30年」と言っても過言ではない。
昭和末期にはバブル経済に酔い「世界一」の夢を垣間見たものの、その後のバブル崩壊と経営者の人材難による「失われた20年」を経て、少なからぬ日本企業が衰退の道をたどった。
経営のカリスマを失った後の迷走。一時的に脚光を浴びるスター経営者の登場も、道半ばで挫折した「改革」。
滞る新製品開発、次世代商品の種蒔きも満足にできず、収益悪化に伴うリストラの断行で進む人材流出と企業イメージの喪失。
外国人トップに活路を見出そうとするも、文化の違いに翻弄され、失いかけたアイデンティティ。
「ジャパンアズナンバーワン」から始まった平成の30年間。世界を席巻していたはずの日本企業は、どこで道を間違えたのか? 新しい時代への活路は見えるのか?松下幸之助、井深大と盛田昭夫……SONYとPanasonic(松下、ナショナル)という日本を代表する世界ブランドをつくり上げた創業者たちに共通するのは、人と技術と発想を大事にする経営理念でした。ウォークマンなど独創的な製品に憧れたり、経営の神様の「水道哲学」に惹きつけられたりした方も多いと思います。
バブルの絶頂で迎えた平成元年。両社の業績も絶好調でした。しかしその後は苦境に陥り、工場の閉鎖や研究開発部門の縮小、人員の削減が行われたことは周知の通りです。
本書は日経のベテラン記者が、歴代トップの言動に焦点を当てながら、平成の30年間に絶頂期とどん底を経験した両社に肉薄。「グローバル化」の名の下で登場した新世代の経営者たちが、創業者たちの残したDNAの何を破壊し、代わりに何を創造したのかを描き出すノンフィクションです。
株主との関係の変化、MBA的経営手法の広がり、近隣アジア諸国の台頭など、日本を取り巻く環境が激変した平成の時代。新しい経営のあり方を模索し苦悩する日本企業と、その陰で失われていった「ものづくり力」を浮き彫りにします。