内容紹介

アパートローン暴走、行員の不正、無理な融資拡大、囁かれる経営不安――地方銀行の現場で何が起きているのか日経記者が明らかに。

おすすめポイント

◆不良債権問題や金融ビッグバンにより都銀・長信銀が再編されたときも抜本的な対策が取られず温存された日本の地方銀行。融資案件不足や長期にわたる低金利で収益が細り存在意義が問われるなか、金融庁から事業性融資の拡大を求められたこともあり、質の悪い融資、アパートローン、ノンバンク業務などで焦げ付きが起き、いま問題が噴出している。

◆本書は、全国の日経記者が連携し、地方銀行の実態を深掘り取材した成果をまとめるもの。設立20年をむかえた金融庁による行政が適切だったのかについても問うことになる。スルガ銀行のシェアハウス向け個人融資は問題の一端に過ぎず、程度の差こそあれ、多くの地方銀行で同じような問題が起きつつある。地域金融の関係者の必読書となる一冊。マイナス金利政策が続くなか、地方の人口減少や経済縮小が顕著になり、銀行、とくに地方の金融機関がこれからどうなるかが大きな問題になっています。すでにこのテーマで様々な本が出ていますが、本書『地銀波乱』の特徴は、日経新聞の取材力を活かした本だということだと思います。

金融庁ができて以来20年の取材の蓄積、全国的な取材網、銀行の業績や資金運用の数字を見る目、一般読者に本質をわかりやすく伝えるための記事執筆のスキル――これらが合わさって本書は刊行されました。

平成の時代が終わり、5月1日からは令和が始まります。平成は、「平成バブル」「平成不況」といった、あまりうれしくない言葉に冠されることが多かったように思いますが、令和はどのような時代になるのでしょうか。新しい時代に踏み出すときの金融常識として本書をお役立ていただければ幸いです。

(2019.4.8)