内容紹介
日経朝刊1面「春秋」担当記者が、500文字で完結する見出しのないコラムをどのように構想し、執筆化しているか、その内幕を綴る。おすすめポイント
日経1面コラム「春秋」を執筆して15年目の記者が、わずか550文字で完結するコラムをどのように構想し、どう文章化しているのか、その内幕と苦心談を綴った書。コラム書きとしての世相の「斬り方」を明かすとともに、読後感のよい文章の書き方、社会人や学生の参考になる文章作法にもふれ、実用性も加味した文章読本的な性格も合わせ持っています。
ユニークな読みどころは第4章。向田邦子、池波正太郎、永井荷風、太宰治、阿久悠……錚々たる名文家の文章がなぜ頻繁にコラムで引用されるのか、その実例を挙げて解き明かすことで、人口に膾炙する「名文」とはいったいどういうものかが、誰にでもわかる平易な言葉で具体的に可視化されます。
本書を読むと、その日本語による「名文」の系譜に連なる新聞1面コラムをより興味深く読めるようになります。また、ちょっとした手紙を書く時などにも「使える」一冊です。 本書の帯の惹句はこのようにしました。「日経朝刊1面下のコラムは、毎日こうして書いています。執筆歴15年の記者が明かす、4コマ550字にこめた想い」
本書を読むと、毎朝届く日経がさらに興味深くなります。
全国紙から地方紙、業界紙、ひいては社内報に至るまで、日本の新聞には欠かせない存在となった1面コラム。まずその歴史をひもといたうえで、著者自身が書いてきた「春秋」を実際に引きながら、1面コラムとは何かを解剖していきます。
いわく、社説のファミリーで批評精神が命。読者の目を引きやすい導入部で、イキのいいネタを手早く。
もうひとつ、本書で著者が強調しているのは、「言いたいことを言うために読後感に気をつけて文章を書く」こと。SNSが当たり前となった時代にもっとも大切なことではないでしょうか。実践的な文章術の本としてもおすすめです。
(2020.3.5)